自分が過去に書いた記事と、思わぬところで出くわすことがある。地域の飲食店や病院の待合室、学校、警察署……。壁や掲示板に丁寧に切り抜かれ、張られているのを見ると素直にうれしい▼だが、これがインターネット上だと微妙。内容にもよるが、署名入りのままいかがわしいサイトや他人のブログに勝手に張られていると、あまり気持ちのいいものではない。十数年前の駆け出しのころ、上司に「記事は一人歩きする。気をつけろ」と忠告されたことがあった。当時はピンと来なかったが、ネット社会の今、胸に響く▼手元から離れた記事の行く末はさまざま。しかし、再会するなら、「うれしい」と思うような形であってほしい。【松田学】
毎日新聞 2008年10月29日 地方版