10月29日、定額減税は「給付金方式」に。写真は昨年2月、東京・丸の内で(2008年 ロイター/Toru Hanai) |
[東京 29日 ロイター] 自民・公明両党の政策責任者は29日、追加経済対策について協議し、焦点の定額減税について、現金やクーポン券などを市町村窓口で直接配布する「給付金方式」とすることを決めた。
規模は課税最低限以下も含め全体で約2兆円とすることでも基本合意。会議終了後に、公明党の山口那津男政調会長や自民党の柳沢伯夫国際金融危機対応プロジェクトチーム座長が記者団に明らかにした。
追加経済対策は、明日30日に自民・公明の幹事長・政調会長会議、政府・与党会議に順次諮り、麻生太郎首相が最終案を発表する段取り。山口政調会長は「あす中には確定させる」と述べた。
<定額減税は給付金方式に、所得制限は行わない>
生活者支援の目玉とされる「定額減税」については給付金方式に変更することで決着した。定額減税方式では課税最低限以下の低所得層に恩恵が及ばないほか、個人住民税の控除が来年6月以降にずれ込むなどの問題があり、政策の実効性と即効性を重視した自民党の提案に公明党が同意した。
さらに、自民党は高額所得者を対象から外すなど所得制限を行うことも検討したが、「事務的な迅速性と情報管理が難しい」(柳沢氏)ことから断念。所得制限はかけない。
規模については「課税最低限以下も含めて全体で2兆円」(柳沢氏)。これに煩雑な窓口業務にかかる事務経費が加わる。
<追加経済対策の真水、5─6兆円の声も>
追加経済対策全体の事業規模や真水の額については、中小企業の資金繰り支援拡充や高速道路料金引き下げの規模、地方公共団体への支援規模など調整がつかない事項があるため、まだ固まっていない。財政支出を伴う国費(真水)は「5─6兆円」(与党筋)との声もあるが、なお流動的だ。
またこれまでに固まった政府・与党案では、定額減税のほか、住宅ローン減税、省エネ・新エネ設備投資減税、海外子会社利益の国内還流、世界最先端の研究開発措置など、減税項目が並ぶが、これらの詳細は年末の税制調査会で固めることになる見通し。
住宅ローン減税についても規模や期間について山口政調会長は「過去最大規模という首相指示のメッセージが伝わる決定にしたい」としたが、「詳細は年末の税調の議論に委ねることになるだろう」と述べている。
一方、年末に期限が切れる証券税制の軽減税率延長期間については、金融資本市場の安定化に向けた政府・与党の明確なメッセージを打ち出す狙いから、延長期間の年限を対策に盛り込む方向。複数の与党関係者によると、軽減税率延長期間について与党内では3年延長論や5年延長論が浮上している。
<中期プログラム、30日の幹事長・政調会議で決着へ>
追加経済対策に盛り込む抜本税制改革の工程表(「中期プログラム」)については、30日の自民・公明の公幹事長・政調会長会議で最終判断される。
与党関係者によると、経済好転後に、安定財源を確保する税制抜本改革を開始し、2010年代半ばまでに段階的に実行する方向性はほぼ確認されているが、詳細な文言の詰めが行われている。
(ロイター日本語ニュース 吉川 裕子記者)
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