1970年代、全国的に広がった自然保護運動のきっかけになった「入浜権運動」が始まって2010年2月で35年を迎えるのを記念し、入浜権宣言の起草者で牧師の高崎裕士さん(77)=高砂市=が、インターネットシンポジウムのサイトを開設した。論文や報告、エッセーなど自由に書き込んでもらい、若者たちにも環境問題への関心を高めてもらいたいと活用を呼びかけている。【成島頼一】
入浜権運動は73年、高砂本港の水銀汚染をきっかけに、高砂市で起きた自然保護運動が始まり。
2年後、高崎さんは「古来、海は万人のものであり、海浜に出て散策し、泳ぎ、あるいは汐(しお)を汲(く)み、のりを摘むなど生活の糧を得ることは、地域住民の保有する法以前の権利であった」という「入浜権宣言」を起草。入浜権はその後、全国的に広がったコンビナート建設反対運動の支柱となった。
運動はその後衰退したが、入浜権運動推進全国連絡会議の代表などを務めた高崎さんは「資料の保存と提供は運動に携わった者としての義務」と5年前から「入浜権運動公式サイト」(http://homepage3.nifty.com/eternal‐life/irihamakenundou.htm)を開設し、関係データを公開した。シンポジウムには同サイトから参加できる。
企画には多くの学者らが賛同。早川和男神戸大名誉教授(日本居住福祉学会長)や民俗学者の谷川健一さんらが呼びかけ人になった。
高崎さんは「当時運動に参加した人たちは高齢化。全国的な集会開催は難しいと思いネットを思いついた。寄せられたものから公開して行き議論を深めたい」と話している。
問い合わせ先はシンポ事務局(079・442・3561、電子メールeternal-life@nifty.com)。
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http://homepage3.nifty.com/eternal-life/irihamakenundou.htm
〔播磨・姫路版〕
毎日新聞 2008年10月28日 地方版