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茨城・医療考:筑西市民病院の行方/上 負のスパイラル /茨城

 ◇医師不足で収入減深刻

 30億円に迫る累積赤字と医師不足による収入減に直面する筑西市民病院(同市玉戸)が岐路に立たされている。運営方針を検討する市議会の特別委員会は冨山省三市長に経営形態の変更を迫り、9月末までの決断を求めたが、結論は先送りされたままだ。病院を取り巻く現状と再建への課題を検証する。【八田浩輔】

 ◇113床削減で病棟閑散…見えぬ出口

 平日の午前11時。診療待ちの患者で込み合う1階ロビーとは対照的に、3階は無人で静寂に包まれていた。市民病院は今年1月、医師不足を理由にベッド数を173床から60床に縮小。入院フロアの3、4階のベッドは使われていない。

 事務用の机やソファが無造作に置かれた病室もある。壁に飾られたままの千羽鶴は患者が残したものだろうか。「医師が来ればいつでも再開したい」。そう話す添野正人事務部長の表情は険しい。

 危機が表面化した背景は同じ境遇にある他の自治体病院と重なる。以前から赤字体質だったうえに、病院経営を支える自治体本体の財政難が追い打ちをかけた。さらに04年に新医師臨床研修制度が始まり、派遣元の大学医局が医師を次々と引き揚げた。市民病院では23人いた常勤医が8人に減った。現在、その多くは20~30代の若手。しかも人事異動は頻繁で、ここ数年は1年程度のサイクルになった。担当医が次々と代わることに患者からの苦情もある。これまで市長や院長自ら筑波大(つくば市)や自治医大(栃木県下野市)などに陳情し、民間の医療人材派遣業者にも登録したが、思うような結果には至らない。

 病床削減は経営上、大きな痛手となる。添野事務部長によると、外来患者1人あたりの収入約6000円に対し、入院患者は約3万5000円。外来患者も削減前の約7割に落ち込んだ。今年1月には看護師などの専門職38人を市役所本庁の事務職に配置換えした。公務員である病院職員の苦肉のリストラ策だった。残った看護師の当直や待機手当も大幅に減額した。

 市民病院は07年度決算で、単年度では9年ぶりに約1億3750万円の黒字に転換した。市が一般会計から2度の補正を含む計約11億円を繰り出し、赤字を補てんした結果だ。診療報酬改定による減収も加わり、市本体からの財政支援がないと経営は到底成り立たない。累積赤字は約27億6000万円。今年度は7億7000万円を一般会計から繰り入れた。人件費で3億円以上の削減を見込むが、収入に対する人件費の割合は9割を超える。

 添野事務部長は力無く語る。「医師不足で収入が減り、患者も減る。負のスパイラル(らせん)から抜け出せない」

毎日新聞 2008年10月29日 地方版

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