常陸太田市の会社役員の女性(当時68歳)が市内の病院で抗生物質の注射の後にショック状態となり死亡したのは、担当医が十分な問診を怠ったことが原因だとして、遺族が病院を経営する法人に慰謝料など約1億4600万円の損害賠償を求めた訴訟で、病院側が約1億円を支払う内容の和解が28日、水戸地裁(坂口公一裁判長)で成立した。
女性の夫が昨年11月に提訴していた。訴状などによると、女性は06年3月、のどの痛みを訴えて同市の根本医院を受診した。院長の男性医師は急性上気道炎と診断。抗生物質製剤「セフォチアロン」を静脈注射後、女性は急性アレルギーで血圧が急低下するショック状態となり、約3時間後に死亡した。遺族側は、同製剤はショック症状を引き起こす原因になりうるもので、医師に問診を怠る注意義務違反があったと主張していた。
病院側は遺族側の主張をおおむね認めていた。男性医師は「再発防止に努めたい」としている。【秋田浩平】
毎日新聞 2008年10月29日 地方版