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ウォン安、韓国人客急減 九州観光に打撃(08/10/29)
 急速なウォン安・円高の進行が、九州の観光産業に打撃を与えている。九州への韓国人観光客の4割超が利用する博多港では、釜山港を往復する高速船の韓国人乗客数が6月以降前年割れ。韓国人観光客の増加に支えられてきたテーマパークやゴルフ場の利用者数にも影響が出始めた。旅行会社への予約数も減少傾向で、当面は厳しい状況が続きそうだ。

 JR九州高速船(福岡市)によると、博多港と釜山港をつなぐ「ビートル」「コビー」の9月の韓国人乗客数は1万7726人で、前年同月比24.8%減。06年度は前年度比17.4%増、07年度は同19.2%増と右肩上がりが続いたが、ここに来て急ブレーキがかかった。

 九州への韓国人観光客の35%が利用する福岡空港でも、韓国路線の乗降客数は7月以降前年割れが続く。28日の外国為替市場では100円=1500ウォン台。米国発の金融危機のあおりを受け、ウォンの価値は直近のピークだった2007年10月に比べて半減している。

 ハウステンボス(長崎県佐世保市)の4―8月の韓国人来場者数が前年同期比約10%減。韓国と台湾を中心とした海外観光客がここ1―2年の来場者数増加に寄与していただけに危機感は強く、「今後は海外でのテレビCMや価格改定などを検討していく」という。

 韓国資本のゴルフ場、ペニンシュラオーナーズゴルフクラブ(長崎市)は利用客の10%超が外国人で、その大半を韓国人が占める。7月以降外国人利用客が前年同月の半分以下に落ち込み、9月は同64%減の107人だった。会員権も6月以降は外国人の購入申し込みがなく、今後は国内会員の募集に力を入れる。

 韓国人客誘致に力を入れてきた人吉旅館(熊本県人吉市)の11―12月の韓国人の宿泊予約数は昨年の半分以下で、キャンセルも相次いでいる。韓国出身の堀尾里美女将(おかみ)によると「(韓国の顧客から)ウォン建てでの支払いを求める声もある」という。

 今年1―6月の韓国人宿泊者数が17万人と、東京、大阪に次いで全国3位の熊本県では「観光施設から韓国人客が3割減ったとの声も出ている」(県観光物産総室)。11月3―4日には蒲島郁夫知事が観光PRへソウルを訪問。自らマスコミ取材などに対応、話題づくりでテコ入れする。

 韓国から日本への旅行取り扱いが主力のハナツアージャパン(東京・港)の九州連絡事務所(福岡市)によると、売れ筋の旅行商品の価格帯が以前は三泊4日で130万ウォン程度のタイプだったが、ここ数カ月で110万ウォン程度に移ってきた。「法人旅行を中心に予約数が例年の半分に落ち込む商品も出てきた」といい、1―2カ月先も九州の宿泊施設や観光施設への影響は続くとみられる。
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