株価がまた暴落して皆さん青い顔をして「大変だ!大変だ!」という。しかし、株なんか持っていないこちとらは、まだピンとこない。でも…まぁウチの会社はまだ「定期健診」とやらをやって社員の生命について少しは気をくばってくれている。だけど…トラ番にとってはてんやわんやの日々だったから誰も受けられなかった。それでキャップ野下俊晴はこの朝、やっとこさクリニックに「健康診断」にいった。
「ほほう、あなたは前回(84キロ)より体重が2キロ減っている。何かダイエットでもしてるの? 感心々々…その気持ちを忘れないように…」と担当のドクターはいう。冗談じゃない。減量などしていない。ただコキ使われてやせ細っているのである。ところがドクターは平然とこう続けた。「あーサンスポさんね。(野球シーズンも終わったから)いまは何かあるの? 忙しいの? アハッ…」
野下の右脳にはなぜか編集局長植村徹也の顔が浮かんだ。なぜだかわからない。次に検査表をよくよく見るとこれまで左右ともに1.5とズーッと変わらなかった視力がトラ番キャップになってまだ28日なのに…左右ともに0.9になっているではないか。この調子だと野下は愛妻に手をひかれて幻の邪馬台国を発掘するハメになるかもしれない。彼の左脳にはドーユーわけか運動部長伊藤英慈のがんもどきみたいな顔がよぎったのだ。
この日は若手と一緒に球団事務所から駐車場(ここは室内練習場にやってくる選手にぶら下がり取材をする絶好のポイントなのだ)の張り込みをやった。目をキョロキョロ、息せき切って走る…たしかにいいダイエットにはなるけれども…。
とそこに鳥谷敬が登場した。当然、野下のダイエット運動は繰り返される。だけど何を聞くのか。すると鳥谷もため息まじりにいうのです。「僕だってもう何をしゃべったらいいのか…」
やっぱり野球は勝たないとダメだということでございます。
そのころ、東京では加藤良三コミッショナーが巨人・滝鼻卓雄オーナーを訪れて「WBC監督」に原辰徳巨人監督の快諾を得ている。これにて一件落着だがなんとなく後味がよくない。そのドタバタぶりについてはすでにいろんなメディアが嫌みタップリに書いているから繰り返さないが、要するに最有力候補に「星野仙一氏」という空気になったとたんに外野席がうるさくなった。後講釈で理由はなんとでもつくが、ズバリ「男の嫉妬」がウズ巻いていた。五輪に負けたことでこんなにひどい批判という名の“みそぎ”を受けさせられるとは星野氏は想定外だったろう。
決定打となったのは10月18日、マリナーズのイチローが「本気で最強のチームを作ろうとしているとは思えない」と発言したことだ。これは“星野WBC監督説”に対する拒絶反応だ?といわれた。イチローさん、これでご満足ですか。一選手の発言が『監督のクビ』を飛ばしたのです。すごい時代になったもんだ。下克上…昔、阪神に巣食っていた“亡霊”が生き返ったのか…と思いましたョ。