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最終更新:2008年10月28日(火) 19時26分

妊婦受け入れ拒否、背景に待遇格差

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 「安心して子供が産める社会になって欲しい」。8つの病院への搬送を断わられ、死亡した妊婦の夫が会見を行い、こう訴えました。医師もいない。資金もない。公立病院の実状を取材しました。

 今年8月、ディズニーランドで撮った夫婦の写真。妻のお腹には初めての赤ちゃん。出産を心待ちにしていました。

 しかし妻(36)は今月4日、ひどい頭痛を訴え、救急車で主治医のもとに運ばれました。激しい頭痛を訴える妻。大きな病院に移そうとしましたが、受け入れ先はなかなか見つかりませんでした。

 およそ1時間20分後、妻は東京・墨田区の都立墨東病院に運ばれました。帝王切開と頭の手術を受けましたが、3日後に帰らぬ人となりました。

 「(墨東病院では)妻が死ぬ日に、妻の腕に子供を抱かせてくれました。2、30分くらいだったかもしれないが、本当に温かい配慮をしていただけた」(亡くなった妊婦の夫)

 「決して病院の責任を追及するつもりはない」と夫は繰り返しました。

 今回の事態の背景には、産科や小児科、救急の現場での医師不足があります。この現象、特に公立病院では深刻です。一体、なぜなのでしょうか?

 「墨東病院に関しては、1年くらい前から院長から召集がかかっていて」(江戸川区医師会)

 こう明かしたのは、都立墨東病院がある東京・江戸川区の医師会。医師が不足していると、病院側から地元にSOSが来ていたといいます。

 「国立大学、はっきり言って医者離れが起きてます」(東京医科歯科大・坂本徹病院長)

 「大学病院は、一方では毎年交付金が何百億と減額され、他方では緊急医療に対する要求も高まっていて、我々は二律背反的な相容れないことを要求されている」(東京大学・武谷雄二病院長)

 国立大学病院の院長たちも危機感を訴えています。大学病院には「カネもなく、医師もいない」のだといいます。

 都内の国立大学病院の給与に関する資料。医師不足を補うための非常勤医師に支払う給与が記されていますが、年収は1年目では273万円。7年以上勤めても343万円。常勤でも、35歳で年収600万〜700万円だといいます。

 この大学病院の病院長は、我々の取材にこう語りました。
 「残業手当もない、土日もない。これでは医師が集まらなくても無理はない」(国立大学病院院長)

 「(公立病院の給与システムは)実態に合わない給与システム。(民間病院の医師は)たいだい1000万円くらい高いのが普通でしょうね」(医療経営財団協会の前会長・長隆氏)

 経営難に陥った公立病院の改革を手がけてきた公認会計士の長隆氏。公立病院の実態をこう語りました。

 「経営者(国や自治体)に真剣味がないってことですよ。それがいかにも病院長が悪いとか、勤務医師が怠惰とか捉えられるのは極めてよくない」(医療経営財団協会の前会長・長隆氏)

 8つの病院への搬送を断わられ、妊娠中の妻が死亡した夫はこう訴えました。
 「赤ちゃんのいるお母さんが安心して子供を産めるような社会になることを求めています」
(28日16:48)



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