ドレスデン近郊の町、
フライタールのクリストゥス教会での
コンサート

 今回私たちをお招き下さったのは、ドレスデン近郊のフライタールという町の、村井頌子の30年来の文通相手 、 クリスチャン・クルーゲ氏です。私たちは彼のお宅とその上の階のローテ夫人のお宅にご厄介になりました。ドイツの家庭の雰囲気を味わえて、とてもよい経験になりました。

 村井はこれまでにも当地で数回のチェンバロ・コンサートを開催し、好評を博しました。

今回は『村井頌子と彼女のアンサンブル、アルモニー・アンティーク』ということで出演しました。

[ 写真はフライタールのクリストゥス教会。遠くから見ると積み木のおもちゃみたいにかわいい]

 

 フライタールに到着した日は雪が降っていました。次の日3月26日もはっきり言って「真冬」でした。会場の寒さを心配しながら、午後からクリストゥス教会でリハーサル。
 

 教会は外から見るとくすんだ感じで美しいとはいえません。とても古い感じでした。建ってから140年くらいだそうです。周りの様子もさびしい感じで、人があまり歩いていません。川の向こうに目を転じると真新しい綺麗な建物もたっていましたが、やはり人の姿はあまり見かけませんでした。

 

 教会の大きなドアにはアルモニー・アンティークのポスターがはってありましたが、お客さんが集まるんだろうかとちょっと心配になりました。でも教会の内部は去年の洪水のあとで作り直したので、とても綺麗になっていました。日本でも冬に教会でコンサートをするときは寒さに要注意ですが、この教会は床から暖房が入るようになっていたので暖かく、とても快適でした。教会はおそらく500人以上入れる広さで音響は申し分なく、とても気持ちよく演奏できました。

ステージにする部分にはカーペットがひいてあるのでダンスはちょっとしにくいようでした。

町の新聞には大きな写真入りで記事が載りました。お客さんは集まるかな....。

27日本番当日。
 朝、町を散歩しました。フライタールの町は綺麗でした。ときおり廃墟のような建物(東独時代の遺物か、洪水の爪痕か)がある以外は、広々として避暑地のような感でした。巨大なもみの木が普通の家の庭に生えています。昨日まで雪が舞っていたほど寒かったので、花はクロッカスとレンギョウくらいしか咲いていませんでしたが、色とりどりのイースターエッグが各家の庭の木にぶら下がって彩りを添えていました。日本の町中では聴けないほど何種類もの野鳥の声がします。中でも一番綺麗な声の主は、全身黒くてくちばしの赤いヒヨドリくらいの鳥です(あとで「アムゼル」という名だと教わった)。
 町のクリニックの入り口のドア今回のコンサートのポスターが貼ってありました。
   [ 静かなフライタールの町並み ]
[ 色とりどりのイースターエッグ ]               [ ある家に描かれたヴァイオリン弾き ]
いよいよ教会でゲネプロ、クルーゲ夫人の持たせてくれたサンドイッチを食べ、ロイブッシュ・ティーを飲んで、本番。お客さんは100人ほどで(よかった!町中の人が来てくれた?)、真ん中の通路には車いすの紳士がいて、熱心に聴いてくださいました。本番はあっという間だったけれど、とても気分良く演奏しました。最後の曲、ルクレールのタンブーランは調子にのって超高速!最初ちょっと堅い雰囲気だったお客さんも最後にはとても喜んでくださいました。
ちょっぴり動画がご覧になれます。(QuickTime が必要です)

[ バロック・ダンスも披露しました。チェンバロ奏者高橋理恵子、ドイツデビュー]

当日のプログラム

1. G.Ph.テレマン:フラウト・トラヴェルソとオーボエと
通奏低音のためのトリオ、ホ短調(「食卓の音楽」第2集より)
2. G.サンマルティーニ:オーボエソナタ第4番ト長調
3. A.スカルラッティ: スペインのフォリーアによる変奏曲
4. A.カンプラ:トラジェディ・バレエ「タンクレード」より抜粋(バロックダンス)

5. C.Ph.E.バッハ:ハンブルガーソナタト長調(フラウト・トラヴェルソのための)
6. G.F.ヘンデル:チェンバロのための組曲第4番ホ短調
7. 宮城道雄:春の海(フラウト・トラヴェルソ とチェンバロで演奏)
8. J.-M.ルクレール:音楽の愉しみ第2番作品8