ダライ・ラマ「中国との交渉に失望」対話路線断念も
ペマ・ギャルポ教授明かす
「ダライ・ラマ法王日本事務所」初代代表を務めるなどチベット問題に造詣の深い桐蔭横浜大学法学部ペマ・ギャルポ教授は28日までに、「チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ14世は、中国との交渉に失望。対話路線断念もありうる」との内情を明らかにした。チベット亡命政府の代表が30日、北京入りする。ダライ・ラマのこうした意向を受け、中国側がどう対応するか注目される。
ペマ教授によるとダライ・ラマは10月25日、チベット亡命政権のあるインド北西部のダラムサラの「子供の村」設立48周年記念式典で「これまで堅持してきた中道路線下で、中国政府に対し高度な自治を求めるため大幅な譲歩と真摯な努力を重ねてきたが、中国側の前向きな反応を得られず、交渉に失望した」と述べたという。
ダライ・ラマはこれまで独立要求路線を鮮明に打ち出しているチベット青年会議などを支持せず、中国政府に対し、内政、文化、宗教をチベット人が担当する高度な自治を認めるよう対話再開を訴え続けてきた経緯がある。
ただダライ・ラマは、「対話路線に対するチベット国民全体の意思は、(亡命政権の)内閣に一任する」とし、最終的決定は民主的に選出された内閣に委ねる意向を表明したとされる。
フランスを今夏、訪問したダライ・ラマは、クシュネル外相との会談で、「(中国では)北京五輪中も残虐なチベット抑圧が続いている」と主張。「中国が国際社会で尊敬されるための唯一の道は、民主主義や言論の自由を確立することだ」と語った。
なおニューデリーで今月中旬、胆石除去手術を受けたダライ・ラマは体調を回復、31日から来月7日まで来日し、東京や福岡を訪問する。
2008/10/28 20:54