政局2008
解散先送りの情勢、30日に最終判断
【科学】満杯、処分待ったなし 医療など低レベル放射性廃棄物2008年10月28日 病院や研究施設などから出てくる低レベル放射性廃棄物の処分の取り組みが進んでいる。埋設処分場を整備、十年後の操業開始が目標。今秋には処分地の選定や処分方法を示した基本方針がまとまる。 放射性廃棄物は原子力発電所からだけでなく、病院でのがん診断や工業製品の測定、核燃料試験研究など医療、産業、研究開発といったさまざまな分野から発生する。中身は衣服、ゴム手袋、紙タオル、解体コンクリート片、洗浄廃液など。 原発からの低レベル放射性廃棄物は日本原燃の六ケ所埋設センター(青森県)で処分しているが、全国二千四百事業所から発生する分は処分場がないため、各事業者が保管している。たまった量は二百リットルドラム缶約五十五万本にのぼる。 このままでは保管能力を超え、新たな研究・開発にも支障が出るため、発生量が三十五万本と最も多い日本原子力研究開発機構が埋設処分事業を受け持つことになった。 処分場は約百ヘクタール、十八ホールのゴルフ場ぐらいの広さだ。埋設方法は放射能レベルで二種類ある。地下十数メートルのコンクリート製ピットに埋める方法と、地下数メートルに素掘りで埋める方法。操業期間は約五十年、三百年間管理する。総事業費は二千億円で原子力機構が千七百億円、他の事業者が三百億円負担する。 低レベル放射性廃棄物処分は海外が先行。イギリスやチェコ、フランス、アメリカでは四十−五十年前から操業を始め、一部は埋設を終了している。原子力機構は「日本は遅れているが、海外の事例があり、埋設技術は確立されている」と説明する。 高レベル放射性廃棄物の処分地選定では、地元の強い反対で何度も頓挫している。「こちらは低レベルなので地質や地盤など厳しい立地条件はない。安全性は十分確保でき、高レベル廃棄物に比べ抵抗感は少ないのでは」(原子力機構)としているが、立地活動はこれから。地元の同意取り付けが大きな課題になる。
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