ニュース[WSJ] “本流”になりつつあるTwitterTwitterのアクティブユーザー数は過去1年間で7倍に。ブログやSNSのように、メインストリームに到達しつつある。2008年10月28日 10時41分 更新
ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル) シリコンバレーで最もホットな技術の1つは、最もシンプルな技術でもある。 Web新興企業Twitterのオンラインサービスがユーザーに求めるのは1つ。「今何してる?」という質問に140文字以内で答えることだ。ユーザーは「tweet」と呼ばれる140字以内の短い更新情報をTwitterのサイトに入力するか、テキストメッセージとしてTwitterに送信する。友人や同僚はTwitterで互いの更新状況をチェックできる。 数年前にTwitterが登場したとき、同サービスが訴求した層は主に、自分が何をしているかをリアルタイムでみんなに知らせたいナルシストに限られていたようだ。だが、さまざまな人々がその面白い使い道を見出すに伴って、Twitterはブログやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のようにメインストリームに到達しつつある。 医師らはTwitterを使って患者に営業時間を知らせている。ロサンゼルス消防署など地域の組織は、同サービスを用いて出動に関する詳細情報を住民に伝え、時には被害者の状況を図で説明している。コンピュータメーカーの米Dellなど数十の大手企業もTwitter登録者に特典情報や製品ニュースを配信している。 サンフランシスコの起業家でTwitter共同創設者のビズ・ストーン氏は、企業が同社のサービスを使い始めていることを心強く感じると語る。「企業がTwitterから引き出している価値に目を向けることは、持続可能な企業を作り上げる役に立つ」と同氏は語り、Twitterは今後プレミアムサービスに課金するかもしれないと述べた。 ビジネス用途にもTwitterのユーザー基盤はまた比較的小さいが、非常に急速に拡大している。同社によれば、アクティブユーザーの数は過去1年間で7倍になった。同社は合計ユーザー数を明らかにしていないが、大ざっぱな規模をとらえるには次のように考えるといい。Web調査会社comScoreによると、Twitterの米国のユニークユーザーは2008年8月に100万人以上、前年同月は28万2000人だった。この数字は実際の総利用者数よりも低い可能性が高い。投稿の大半は携帯電話から行われているからだ。 Twitterに人々を引きつけている要因の1つは、簡単に使えることだ。ユーザーはTwitter.comでユーザー名を作成してアカウントを登録する。登録後はWebまたはテキストメッセージ経由でメッセージを投稿できる。更新内容はTwitter.comや、SNSなどユーザーがTwitterアカウントと連係させているほかのサイトに表示される。投稿は公開することもできるし、家族や友人など、承認した相手だけに見せることもできる。 Twitterを最大限に活用すれば、メッセージを投稿するだけでなく、他人のTwitterエントリをフォローすることもできる。あるユーザー(仮にボブとする)がほかのユーザー(仮にメアリーとする)をフォローするには、メアリーのアカウントページにアクセスして「follow」ボタンをクリックする。ボブがログインしたときに、彼のホーム画面にはメアリーの更新情報や、ボブがフォロー登録しているほかのユーザーの更新が表示される。ボブはTwitterのモバイルWebページやサードパーティーのサービスを使って、携帯電話で更新を見ることもできる。 Twitterは友人の状況を把握するのに便利だが、企業もその使い道を見出している。バージニア州パルミラの不動産仲介人ダニエル・ロサメル氏(27)は、近所の人や同業者など1000人以上のフィードをフォローしている。同氏はTwitterで、自分の担当地域で不動産の手助けを求めている人を探している。同サービスで潜在顧客とメッセージをやりとりしたこともあるが、その相手は後で予定を変えてしまった。 またロサメル氏は、Twitterをちょっとしたアドバイスを受けるホットラインとしてよく利用している。最近では、同氏の依頼人が、安全検査を受けていない井戸のある家に適用される特殊な住宅ローンに適格かどうかを同サービスで質問した。同氏がTwitterでフォローしているデンバーの住宅ローン仲介業者が、すぐに「イエス」の答えをくれた。依頼人はその1週間後に住宅ローンを組んで家を買う契約を結んだ。 もっとも、ロサメル氏はプロのアドバイスだけを求めているわけではない。自宅の庭に生えている植物の種類をTwitterで尋ねたこともある。写真を撮ってWebサイトにアップロードし、Twitterにそのサイトへのリンクを載せて質問した。すぐに誰かが答えをくれ、その植物は甘草で、もうすぐ花が咲くから引き抜かないようにと注意した。 Twitterの効用、そして不満ロサメル氏のような専門家はたいてい、カンファレンスのときにTwitterを使い始める。カンファレンスでは絶えず人に知らせたいことが出てくるし、人々は自分の周りで何が起きているかを知りたがる。Twitter共同創設者のストーン氏は、同サービスでは通常、政治家の討論会、コンサート、ハリケーンなど大小のイベントの前後に新規ユーザーが大きく増えると語る。これを受けて同社では、ユーザーが特定のイベントに参加していることを通知して、その場にいるほかの人と情報を共有できる方法を検討している。 自己発信や宣伝のための簡単な手段として、Twitterに群がるユーザーもいる。ブログを立ち上げるよりも時間のかからない手段として利用し、自分の仕事に関する情報を発信して、評判を高めている人もいる。バージニア州フレデリックスバーグの弁護士アンドリュー・フラッシュ氏(26)は最近、商標登録に関する自分のWebセミナーをTwitterで宣伝した。セミナーには15人が参加、Twitterで宣伝しなかった次のセミナーの参加者は7人だった。 フラッシュ氏はまた、Twitterはほかの分野の専門家への照会や、あまり会わない仕事関係の知り合いの近況を知るのにも便利だと気付いた。「彼らの興味深い面を垣間見られる」と同氏。「人脈を作り、人と知り合いになるこれまでにない方法だ」 とは言え、ほかの人たちが参加してくれないと、Twitterの利用にフラストレーションを感じるかもしれない。今年に入り、テキサス州立大学M.D.アンダーソンがんセンターの助教授オリバー・ボグラー氏は、Twitterを使って研究室のメンバーとコミュニケーションを取ろうとした。会議や興味深い研究についての情報を簡単に共有できるだろうと考えたからだ。 だが、研究チームのメンバーがTwitterにはまることはなく、投稿をチェックすることはなかった。ボグラー氏は、メンバーはオンラインでTwitterをチェックできるほどデスクに長くおらず、携帯電話でTwitterを立ち上げることもできなかったのだろうと思っている。 同氏はまた、Twitterのパフォーマンスが少々不安定なことにも気付いた。更新にしばらく時間がかかることもあった。「Twitterがビジネスシーンで利用できる状態にあるのか分からない」と同氏。「参加の障壁が大きい」 Twitterのストーン氏は、同社はこの数カ月で「信頼性とパフォーマンスにおいて大きく前進した」とし、今後も改善を続けると述べている。「まだやるべきことはある」 だが同社は既に、短期間のうちに複数の企業の間に広まっている。ネバダ州ヘンダーソンのオンライン靴販売店Zappos.comでは、450人以上の社員がTwitterで政治からマーケティングプランに至るまでさまざまな話題を話し合っている。Zapposのトニー・シエCEOは自らのTwitterアカウントを開設して口火を切り、自身の活動について1万4000人を超えるフォロワーに最新情報を伝えている。 社員がTwitterの使い方を覚えられるように、Zapposは講習会を始めた。友人の更新情報をフォローする方法といった基本的なことから、Twitterストリームに画像を加えるなど、サードパーティーのサービスを使って工夫を凝らすような「高度な」テーマもカバーする。 顧客とのコミュニケーションの手段としてTwitterを利用する企業もある。米Comcastのデジタルケアディレクター、フランク・エリアソン氏は、Twitterを介して1日に数十件のカスタマーサービスの問題を解決することがよくある。数カ月前、同社はTwitterの公開アカウントをマイニングして、DVR(デジタルビデオレコーダー)の不具合やインターネット接続のトラブルなど、同社のサービスのユーザーが体験している問題を発見した。 同社は今7人体制のチームを置いて、Twitterを介して、あるいは顧客の連絡先を調べて電話をかけることでこうした問題を解決している。「人々が(当社について)どんなことを言っているのかを探して、活用できるようになった」とエリアソン氏は語る。 関連記事[Jessica E. Vascellaro,The Wall Street Journal] この記事はダウ・ジョーンズとの契約の下でアイティメディアが翻訳したものです。翻訳責任はアイティメディアにあります。 Copyright (C) 2008 Dow Jones & Co. Inc. All rights reserved. 新着記事
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