12 and ½ Writing Rules | Pick the Brain
な、長かったです…。こんなに苦労をしたのは博士論文を書いた時以来かもしれません。何かというと、夏あたりからずっと続けてきた一つのプロジェクトに、今日やっと一区切りを打つことができたことです。
最近ブログを書くペースが落ちていた理由は、このプロジェクトの最後の調整にかかりきりで、なかなか時間がとれなかったからだったのですが、それだけの犠牲を払ったこともあって、満足のゆくものができあがりました。
まだ詳細は書けませんが、「原稿用紙200枚くらい」といえば、なんとなくその作業量に納得していただけるのではないでしょうか。
文章を書くことはとても楽しいのですが、「楽しい」と思える部分は最後にやってくるというのが辛いところです。その途中は、「ああしよう、こうしよう」と何度も何度も書き直しをする連続です。
「もっと上手に文章をかけるようになりたいなあ」と常々思っていたところに、先日 Pick the Brain に「文章を書くときの 12 と 1/2 のルール」というエントリがあり、興味を惹かれました。
その 12 か条とは? なぜ 1/2 なのか? 以下でまとめてご紹介します。
文章上達の 12, 1/2 のルール
これらのルールは、英語で、どちらかというとエッセイや小説を書く人を念頭に書かれていますが、ブログやちょっとした文章を書く人にもあてはまりそうです。
その12か条は太字で、それに対する私の個人的な解説を下に書き添えてご紹介します。自分がこの 12 条を実践できているわけではありませんので、そのあたり差し引いてお読みください。
1. 毎日かけば、毎日上達してゆく
毎日一定量を書くことにするのは、文章修行のよい習慣です。スティーフン・キングは作家志望の人は最低でも毎日 1000 字、多分日本語の原稿用紙にすれば 2, 3 枚を書く習慣をつけるべきだと書いているそうです。
「良い文章を書く習慣」ではなくて、「なんでもいいから一定量書く習慣」というところに注目です。まずはマス目を埋めていれば、クオリティはあとからついてくるのです。
2. 書くのが飽きてくるような文章は、読者にとっても同じだ
煮詰まりすぎて、どうにもならない文章はこうしたことになりがちです。原稿用紙5枚程度だったら、骨子を抜き出してもう一度書き直したりすると、さきほどよりもずっと面白い文章を一気呵成に書けたりするので不思議です。
3. 書くためのルーティンを決め、それを守ること
毎日書く時間、書く場所を決めて、それを忠実に実行する。ブロガーの多くは、なんとなく記事を書いているうちに、自分の「黄金時間」を発見している人が多いようです。
4. 詩は韻をふまなくてもいいし、詩は韻をふまないことがなくてもいい
これは厳密に「詩」についてのアドバイスというよりは、作品のスタイルは守ってみたり、あえて破ったりするところにその妙があるというアドバイスです。
たとえば小説が必ずしも長い文章である必要がないというのが、元記事に紹介されていたヘミングウェイの最も短いたった6単語の物語という例からもわかります。「売ります:赤ちゃんの靴。未使用」
5. 実生活でも、文章でも偏見を避けること
文章を書くということは、「自分の意見の発見」でもあります。せっかく書くからには、偏見や付和雷同を避けて、「よくわからないけど、自分はこう思う」と書く勇気を見つける方が、急速に上達を迎えることができます。
私は多くのブログが、記事部分にリンクをはっているだけだったり、元記事を引用しているだけなのは、非常にもったいないと、いつも思っています。たとえ一行でも、自分がなぜリンクをしたのかを書けば、何ヶ月かたって読み返した時に、得るものがさまざまにあります。
6. 文章を書く人は文章をたくさん読んでいる
私はこれを最近さぼっていますが、たしかに文章がかける人は、文章を読むことになれている人が多いです。
文章を読むということは、感覚ではなくて、言葉を通して理解できるということでもあります。こうした「言葉からイメージを受け取る」という経験が、ひるがえって「イメージを言葉に翻訳する」という能力を生み出してくれるともいえます。
また触れたことのない漢字や表現を自分で書くこともできないのですから、最低限の読書を維持することは大事な訓練になります。
7. 好きな言葉、本、場所、もののリストを作ること
先の項目の「言葉を集める」のと似ていますが、自分が自慢にしている表現を集めてみたり、本の箇所、引用文などを集めておくのは、言葉につまったときに大きな助けになります。
「場所、物」がこれに加わっている理由は、いつでも古い記憶を呼び出したり、過去の逸話を呼び起こせるようにするためだとも言えそうです。文章につまると私もよく昔話で切り抜けたりするので、なんだか理屈では説明できないのですが、納得できます。
8. お話に意味や、教訓がなくてもいい
これは小説やエッセイに限ったことでなく、ブログの記事に必要以上に「批判」を盛り込んだり、結論を盛り込まなくてもよいというアドバイスです。
時として、事実と一緒に、自分が考えたことを並べるだけで、読者は自分で自分の結論を導きだしてくれるものだからです。自分の記事が思いもよらない方向で読まれているのを発見するのは、いつも新鮮な気持ちがするものです。
9. いつでもノートをもって、ペンをもっていること
これは「ユビキタス・キャプチャーの習慣」として、いくら強調しても強調したりないものです。なにかを書きたいなら、アイディアが必要です。でもアイディアは、キーボードの前に座っているときにやってくるとは限りません。
ブログを書く人は、誰でもメモ用紙か情報カードをポケットに忍ばせておいて、「あ、これを使おう」というアイディアが降ってくる瞬間にそれを捉えられるようにしておくようにしましょう。
10. 散歩にいったり、踊ってみたり、雑用をしたりすること。それについて書くこと
一言で言うなら、「日常に起こることに注意を向けること」でもいいでしょう。
私はいま、松田道雄氏の「日常を愛する」(平凡社ライブラリー)を読んでいるのですが、氏が日常の移ろいのなかから、警鐘を鳴らすべき問題について、はっと気がついたことについてさまざまなことを見つけ出す「目」には学ぶことが多いです。
日常をちゃんと見つめることが、ディテールにこだわった文章を書く訓練になるわけです。これは自分も足りない点なのでじっくりやってみないと…。
11. 一つのスタイルに落ち着かないこと
文体は個性ですが、成長のない個性は惰性も生み出します。ブログを書く人はブログのブランドイメージをつくり出すためにも、一つのブログごとに違った文体を選ぶことができないか挑戦してみるのもいいでしょう。
文体というと難しく聞こえますが、「ですます調」を使うか、つかわないか、自分のことを「私」というのか「僕」「自分」というのかというところだけでも、いろんなバリエーションを生み出すことができます。
12. 一つの話題の両面を欠けるようになること
時事ネタを持ち出しますが、例えばアメリカ大統領選でオバマ大統領候補を支持している人は、逆にマケイン候補を支持する視点を試みたりしてみるのが良い訓練になります。
難しいですが、自分が嫌いな国、嫌いな人物、弱者、自分ではない他人の側から書けるなら、それはひいては正しい自己認識にもつながります。
批判的な文章を書くときでも「角の取れた」受け入れやすい文章を書くには、この訓練は欠かせません。まあ、これはやりすぎると八方美人で誰に読んでもらいたいのかわからない文章になってしまいますので、「視点」の不在にならないようにするというバランスも必要なのですが…。
そして最後の 1/2 は…。
「こんなリストを見ているのをやめて、何か書くこと!」
ご、ごもっとも。というわけで、しばらく滞りがちだった更新をなんとか復活できそうです。
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