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別府ぅな侍
 
 
初めまして。今日はお会いできて本当に光栄です。講演の題名は「ぼくらの預金が使われている戦争、貧困、環境破壊」ということになっていますが、このインタビューではぜひとも田中さんの人間像に迫りたいと思っています。どこが出身地なんですか?
東京都小平市で生まれました。昭和32年生まれで、ある程度田舎で育ちました。虫取りにいったり、毎日そんなことばっかりやっていた。ぼくの父親はサラリーマンをやっていて母は自宅で文房具屋さんをやってました。父親は戦前からの共産党員で、戦時中になると軍隊に行かされて、でもそのころの人の心理はわかりづらくてね、「戦争に負けたとわかったときに自分は天皇を救いに行かなければならないと思った」とか言っていたよ(笑)。
なるほど(笑)、現在の共産党の方とのイメージは違うわけですね。子どものときは、どんな感じで育ったんですか?
小学校卒業までは普通にぼーっと暮らしていたんだけど、中学校に入った直後に母親がガンで亡くなり片親になってしまったんだ。親父と私と姉の3人家族になった。そのころから急に自分の中に自我が生まれたというか、「自分は一人で生きていかなければいけないんだ」みたいな感情が生まれたんだ。
それはなぜなんですか?
守ってくれる存在がいなくなったからだと思うよ。そして突然に早熟なガキになったんだね、それまでは普通の少年だったんだけれど。その後は、周りに適応ができなくなって、結局のところ不良になった。酒もたばこもそのあたりから始まったことなんだよね、12歳からかな。あまり集団にならない不良というか、一応中学のときまでは集団的だったんだけれど、あまり不良仲間と合わなかったんだろうね、個人的な不良だったようなものだよ。中学2年生のときは243人中、ペケの方だったんだけど、「おれはいい高校に入りたい」と思って勉強してトップ10ぐらいに入っていい高校に入った。それからすごく不良仲間と距離ができてしまって、逆に恨まれて袋叩きにあったりしてね(笑)。
それはそれは(笑)。高校からは?
高校に入ると抑圧されるムードが全く合わなくて、「もう辞めちまえ」と思って辞めた。それでもどうしても大学を出たいと思って高校に入り直し、でもまた辞めるという繰り返し。結局、7回入退学を繰り返したんだよ(笑)。
7回!?
というのはね、高校に入っても、大人しく授業とか受けてられないんだよ。もっとすべきことがある気がして。焦っていて授業なんか聞いちゃいられない。でも試験となれば点を取らなければいけないから自分で勉強するんだけど、答え合っているのにバツを付けられるわけ。教師に「答え合っているんですけど」というと、「おれが教えたやり方ではない」といわれ、ぼくは「おまえな、教師なんだから合ってりゃ丸を付ければいいんだよ」といって、クビになるみたいな感じだった(笑)。「自分には本当に協調性が欠けているんだ」と思っていて、ずっと自信がなかったね。親からは勘当されていたので働くしかなくて、町工場で働いてお金を稼ぎながら、夜間高校に通った。それで大学入学資格検定を受けて、大学受験の資格をもらった。そのときが20歳。随分と遅れていたんだよ。
それで大学に入るんですね。
夜間大学だけどね。ただ、大学に入る前にぼくにとって転機が訪れた。夜間高校に通っている頃(18歳)、友達が「公務員試験を受けないか」と願書を持ってきた。それに「高卒程度」で書いてあって、「おれ高校卒業していないよ」っていったら「高卒程度だからいいんだよ」っていわれて受けたんだ。それで日本で初めてらしいんだけど、高校卒業していないのに地方公務員に合格して昼間は高校の事務として働き、夜は夜間高校に通っていた(笑)。
なんですか、それは(笑)。
高校には5年間勤めたね、高校に通いながら1年間、夜間大学の4年間も地方公務員として働いたことになる。それで、ずっと働いていたから休んだことがなくてね、大学卒業したと同時に高校の勤務を辞めて、とにかくどこかに1年間行きたいと思ったんだ。ところが法律の勉強が面白くなってしまって、大学に聴講生として1年間残り、勉強ばかりしていた。司法試験目指して勉強してたんだけど、現実の弁護士を見ていると正義感強い人はまったくお金が入らないのに毎日頭を悩ませてる。きっとぼくは正義感が強い方だろうと思ったから、「これは無理だ」と思って結局司法試験は受けなかった(笑)。そして大学時代の友人がまた「公務試験を受けない?」って紹介してくれて、国家公務員と地方公務員の試験を受けた。幸い、どっちも受かってね、でも地方公務員の道を選んで今までの25年間、市役所で働いているんだよ。
すごいパワーですね。
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記者:今井紀明