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@展覧会:ミッシング・ピース展 ダライ・ラマと向き合って

 チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の思想にテーマを求めた展覧会と聞けば、少し身構える人もいるだろう。アートがどこまで政治に踏み込むのか、宗教色は出ているのか……と。東京・代官山の代官山ヒルサイドテラスで開かれている「ミッシング・ピース」展のことである。

 企画したのは、ダライ・ラマ財団と、識者や政治家らで組織するNPO「チベット100人委員会」(共に米国)。彼の思想に賛同し、欧米各国と東京を巡回して<失われた平和>を取り戻す道を探るという趣旨に賛同したアーティスト89人が参加。東京展では、ビル・ヴィオラやキム・スージャら著名美術家を含む30カ国59人の絵画や立体、映像などを展示する。

 10章構成。展示はチェイス・バリーの油彩画のように、ダライ・ラマ自身を題材にした作品からスタート。「つながっていく慈悲の心」「地球人として生きること」など、壮大なテーマへ展開する。

 坂本龍一は、白砂をまいた台の裏側にスピーカーを設置し、ピアノ演奏の振動を伝える「音曼陀羅(まんだら)」を作った。砂は、少しずつ動いて不思議な造形をつくりだす。チベット仏教伝統の砂曼陀羅につながり、小さな平面が広い世界を連想させる。

 マリーナ・アブラモヴィッチは、チベット仏教の5宗派の僧、尼僧120人による読経の様子を個別に映像に収め、同時投影した。個の存在を保ちつつ、声は一つの雄大な響きとなる。池田一は、人が1日に最低限必要な80リットルの水をテーマにした写真・立体作品を通して、世界が抱える社会問題に切り込む。

 展示作品は寄贈が条件。主催者は巡回終了後、作品を売却した収益で平和活動を継続させていくという。11月9日まで。問い合わせはハローダイヤル(電話050・5541・8600)へ。【岸桂子】

毎日新聞 2008年10月28日 東京夕刊

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