事件当時は未明だったが、梅田の交差点は街灯で明るく、タクシーの姿も少なくなかった。目撃される危険性は高いうえ、はねられた時点では致命傷も負っていなかったとみられるが、犯人は救護することなく逃走した。
こうした点から、捜査関係者は「警察や救急を呼べない事情があったのではないか」とみる。犯人が飲酒や無免許などのほか、犯罪性の高い別の事件に関与していた可能性もあるという。
路上に残されていた線状の血痕から、犯人は遺体発見場所までの約3キロを幹線道路を使って逃走したとみられる。さらに福島署の目の前を通過した直後に遺体を振り落としており、土地勘がなかった疑いもあると府警はみている。
情報提供は曽根崎署捜査本部(06・6315・1234)へ。
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■第2子誕生を心待ちに
ひき逃げされ死亡した会社員の鈴木源太郎さん(30)=堺市=は、来年に生まれる予定の第2子を心待ちにしていたという。
知人らによると、鈴木さんは横浜市出身で法政大学卒。学生時代は空手部で主将を務め、実業団の大会にも出るほどだった。23日の通夜や翌日の告別式には後輩らが集まった。東京から駆けつけたという後輩の飲食店従業員の男性(28)は「まじめで明るく、よく飲みに連れて行ってくれた」と振り返った。
卒業後は不動産会社を経て昨年三井不動産レジデンシャル(東京)に転職し、大阪に赴任した。「関西を拠点に仕事をし、家族のために落ち着きたい」と話していたという。
長男はまだ2歳。親族の男性は「子煩悩だった。いつも長男を連れていた。親族の子どものこともよく面倒みてくれて、畑に連れて行ったり、ドッジボールを一緒にやったりしていた。残された子や、おなかの子が不憫(ふびん)でしょうがない」と話した。