大阪・梅田の交差点を横断中の会社員、鈴木源太郎さん(30)が車に約3キロひきずられて死亡したひき逃げ事件。28日で発生から1週間を迎えるが、現場に残された物や目撃者が少なく捜査は難航している。防犯カメラに映っていた「黒いワゴン車」はどこへ消えたのか――。
●逃走先は
事件があった21日未明、遺体が発見された大阪市福島区吉野4丁目の路上から西約1.3キロと約1.5キロ先の2カ所の防犯カメラに、梅田の交差点で目撃された車とよく似た黒いワゴン車が映っているのを大阪府警が確認している。時間は、遺体発見から4分後の午前4時29ごろだった。
さらに約0.5キロ先には、国道43号と交わる「梅香交差点」がある。ここから西の防犯カメラには同タイプの車が映っておらず、犯人が梅香交差点で国道43号に入った可能性があると府警はみている。
国道43号を利用すれば、北は兵庫・阪神方面、南は大阪・天王寺方面に出る。府警は、この交差点付近が逃走経路を割り出すポイントとみて、周辺の防犯ビデオ映像の提出を受け、解析を進めている。
●捜査難航
府警は1週間で延べ約450人の捜査員を動員、犯行時間帯の検問で約1800台を調べた。これまで約130件の情報提供があったが、犯人に結びつく有力な手がかりはないという。
車は時速20〜30キロ程度で接触したとみられ、現場からは塗装や部品の破片が見つかっていない。ズボンにはタイヤの跡が残されていたが、車種の特定には至っていない。犯人が車を修理工場などに持ち込んでいる可能性もあるが、府警幹部は「車種を絞りきれない限り、工場からの情報収集も難しい」という。
●犯人像