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2005年 02月 11日
日英のギャップ? 9日発売の「週刊新潮」2月17日号に、BBCで今年後半放映される昭和天皇の生涯を描いたドキュメントに関しての記事が載っている。 タイトルは 「昭和天皇」人格が歪んだ「身体欠陥者」! 英国BBCのドラマ「勝利した負け犬」の酷すぎる「偏向脚本」 記事の中で、BBCを「英国国営放送」としている点が若干気になり、コメンテーターの選択が偏っている感もある。しかし、この記事の主張が正しいか正しくないか、またBBCの脚本が偏向しているかいないか、という点は、まだ番組ができていない・放映されていないので、私には現時点で十分に客観的な判断ができない。 ―戦争ドキュメンタリーが頻繁に放映されている こうした番組が放映される背景として、イギリスでは歴史番組の人気が高く、かつ戦争ドキュメンタリー、戦争ドラマが特に好んで見られているという現状がある。週に数度はBBCのチャンネルに限らず、いずれかのテレビ局が放映している。 いかに第1次及び2次世界大戦で連合軍が闘い、勝利を得たか、いかにナチ・ドイツが残虐だったか、いかに日本軍が連合軍側の戦争捕虜を不当に取り扱ったか・・・。戦後60年経っても、イギリス人は忘れない。テレビで頻繁にこうしたドキュメントが放映されるので、戦後生まれの若い世代にも知識が広まってゆく。 先月も、BBCは「アウシュビッツ」というタイトルで、アウシュビッツの強制収容所で働いていた人にインタビューをしたドキュメントを数週に渡って放映したばかりだ。 何故これほど戦争物が多いのか? 専門家の分析が必要だが、私の見たところでは、やはり戦勝国であるという理由が大きいように思う。戦争宰相ウインストン・チャーチルの博物館が、11日ロンドンでオープンしたが、チャーチルは、2002年のBBCのアンケートで「最も偉大なイギリス人」に選ばれている。 日本の過去、特に第二次世界大戦前後の歴史や昭和天皇の役割などに関しては、通常の日本人よりもイギリス人の一定の年齢以上の人たち(50歳以上)の方が、詳しいかもしれないほどだ。 長崎や広島の原爆の意味、昭和天皇の戦争に対する責任など、イギリス側の認識・解釈は日本側の解釈とは随分違う。 日本に関しての理解者がいない、という意味ではない。しかし、原爆は「必要だった」とする意見を肯定する雰囲気、昭和天皇は「戦争犯罪人」、「責任を取らなかった人」「ずるい人」という認識が存在することは事実だ。 週刊新潮の記事は、放映予定のBBCの番組が「偏向」している、とする。しかし、その「偏向ぶり」の箇所は、イギリスに暮らしていると、イギリス人が、あるいはイギリスのメディアが通常考える範囲内にあり、特に飛びぬけて偏向している、ともいえない。 どちらが正しいか?ということでなく、繰り返しになるが、戦勝国イギリスの見方は日本とは違う、という現実がある。 また、番組制作のためにBBCなりの調査はやるとしても、ある歴史トピックに関して、「偏向がないように」「中立に」「誰もが賛同するような」ということを、最優先事項としていないだろう点にも、注意したい。 今まで報道されてこなかったことを明るみに出す、大胆な解釈で人目を引く・・ということがないと、番組としておもしろくならないし、やる価値もないだろう・・と考える部分がある。公共放送とはいえ、決して「無色透明」なものを作ろうとしているのではない。 これを、BBCは「国営放送」と見て、何らかの中立的、無色透明、「公平」な歴史ドキュメンタリーが放映されると思うと、失望するだろう。 放映は、「イギリスは、日本を、昭和天皇をこう見ている」ことを改めて知る機会になるだろう。イギリスと日本との間の認識のギャップを再確認する機会でもある。 イギリスでは、王室批判の番組などが日常茶飯事だ。頭のおかしい王がいた、愛人がいた、血友病の家系だ、王室制度そのものがけしからん、などなど、やりすぎでは?と思われるほどのドラマ、ドキュメンタリーが作られてきた。 こうした、例え自国の王室といえども下劣すれすれのレベルのアングルも含めて、批判するような番組を作ってきたのが、BBCを含めた英テレビ界だ。 従って、かつての敵国のトップだった天皇の生涯に関するドキュメンタリーでは、しかもその敵国の戦争中の扱いに今だ恨みを持つ国民もいるイギリスだからこそ、容赦なく天皇を批判し、様々な面を暴露する、あるいは自論を展開するだろうことが、想像できる。 特に日本を、天皇をターゲットにしているのではなく、いつもやっていることの一環なのだった。 昭和天皇のエピソードは、BBC2の「タイムウオッチ」という枠の番組の中で放映される。「タイムウオッチ」では、歴史を様々な角度から見たドキュメントを放映してきた。今後の予定を見ると、「ロシアの独裁者スターリンを殺したのは誰か?」「故マーガレット王女の悲劇」などとなっている。 (以下は、週刊新潮の記事の抜粋です。) BBCの広報を通じて、見解を聞いてみた。 「歴史番組で知られる『タイムウオッチ』という番組の中の、第2次世界大戦末期を取り上げるシリーズの一環として、ヒロヒト天皇の生涯に関しての番組を制作中です。収録が始まったばかりの段階ですので、通常のテレビの製作現場で起きているように、台本は何度も書き換えがなされます。したがって、後数ヶ月は製作が完了しないので、現時点で番組の正しい判断をすることは不可能です。BBCとしては、この番組で日本人を侮辱するつもりは全くありません。関係者の皆様方には、今年後半、番組が放映されてからご判断いただくことを切に望んでいます。」 タイトル : 英BBCの昭和天皇番組制作を批判 9日発売の「週刊新潮」が、英BBCが制作した昭和天皇の生涯に関する番組を批判した。週刊新潮は昭和天皇を悪意に満ちた中傷で汚し、内容に偏向が見られると指摘、BBCに番組の放送停止を求めている。これについてBBCは9日、「番組は収録の初期段階であり、今後も脚本は書き直されていく。完成まで批評や評価はできない」と述べた。この番組の中では、日本軍が第二次大戦で使用した毒ガスで270万人の中国人を殺したことにも触れられているが、新潮は被害者を1万人程度としている。 http://news.sina.com.c......more
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