警視庁捜査二課は二十七日、営業実体のない企業の決算書類を改ざんし、新銀行東京(東京都新宿区)から融資金約五千万円を引き出してだまし取ったとして、詐欺容疑で同行池袋出張所の元行員青木千代美容疑者(56)=東京都町田市金森=と、融資先企業の役員やブローカーら計七人を逮捕した。
捜査二課によると、青木容疑者は自ら書類を偽造して手数料百万円を受け取るなど積極的に不正に関与したとみられ、巨額の不良債権を抱えた新銀行東京のずさんな業務管理の実態があらためて批判されそうだ。
ほかに逮捕されたのは、コンピューター関連会社「アシストプラン」(大阪市中央区)会長で元指定暴力団住吉会系組員大丸正志容疑者(46)=鳥取市富安=と、金融ブローカーで会社役員の渡部善和容疑者(49)=東京都豊島区要町=ら。
青木容疑者は容疑を認め、「融資のノルマをこなしたかった」と供述。大丸容疑者は否認しているという。
調べでは、青木容疑者ら七人は、アシスト社の関連会社で営業実体がなかった給排水設備会社「リフレックス」(東京都中野区)の決算書を改ざんして池袋出張所に提出。返済見込みがないのに、二〇〇六年九月にリフレックス社に約五千万円を融資させてだまし取った疑い。
融資金のうち約二千七百万円はアシスト社に流れ、大丸容疑者個人が約千七百万円を受け取っていたとみられる。青木容疑者は手数料を要求しており、最終的に青木容疑者に百万円、渡部容疑者にも百万円が渡ったという。同課はさらに詳しい資金の流れの解明を進める方針。
青木容疑者は契約社員として〇六年一月に入社し、営業や融資を担当。昨年三月、依願退職した。融資金のうち約七百五十万円は返済されたが、残りは焦げ付いており、新銀行は社内調査で詐欺事件の疑いが強いと判断し、今年三月に警視庁に捜査を依頼。今月二十七日付で告訴した。
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