作業所! 作業所! 作業所!
身体・知的障がい者の「作業所」の問題が、相次いでマスメディアの注目を集めています。
一つ目は、ご存じの方も多いでしょう、神戸で起こった「作業所の最低賃金法違反」問題です。
2007年2月19日 神戸新聞より
神戸の障害者作業所 最低賃金法違反 労基署が指導検討
社会福祉法人「神戸育成会」(神戸市長田区、小林八郎理事長)が運営する知的障害者の作業所が最低賃金法に違反しているなどとして、神戸東労働基準監督署が立ち入り調査し、改善指導を検討していることが十九日分かった。 作業所は一定の条件を満たせば労働法規の適用から除外されるが、同署は、同法人運営の作業所が工賃を減額するなど条件を外れ、「労働」にあたると判断。労基署が作業所に指導することは異例で、法人側は反発している。 低賃金法違反 法人側は反発 同法人は同市東灘、中央区で三カ所の作業所を運営。知的障害者計十六人が老人ホームのクリーニングや、クッキーづくりなどの作業に携わっている。 旧労働省の通達により、作業所や授産施設は(1)作業員の出欠、作業時間、作業量は自由(2)同一品目の工賃は作業員の技能によって差別を設けず、同額(3)作業収入は材料費などを除いて全額を作業員に支払う-などの条件を満たせば、労働基準法などは適用されず、「労働者」としてみなされない。 しかし、同法人などによると、作業員が遅刻した場合は工賃を減額。作業収入が計約千六百万円(昨年度)あるうち、障害者に渡した工賃などは約四百万円だった。 兵庫県内の最低賃金は時給六百八十三円だが、同法人で障害者に支払われているのは年間約二十五万円で、時給百円程度にあたり最低賃金を満たさないことになる。 また、神戸市は同育成会に本年度、年間約千四百万円の補助金を支出。市は育成会から、収支報告書を受けているが、実際に障害者に支払われた工賃は分からないという。 三つの作業所で働く指導員は七人。同法人によると、今年一月現在の収支状況では、作業収入と補助金計二千四百七十九万円のうち、人件費は二千百二十五万円。障害者への工賃は二百十三万円だった。 同労基署は昨年十一月に立ち入り調査し、収支報告書や作業実態を調べた。改善指導することになれば、「障害者を労働者として扱い、最低賃金を払って労災保険にも加入する」か、「適用除外を厳密に守って作業所として続行する」か選択するよう求めることになるとみられる。 同法人の小林理事長は「作業所は就労に向けた訓練の場。指導員がいなければ成り立たない作業で労働ではなく、最低賃金法の対象になるのはおかしい」と話している。 同市は近く、補助金の使途を確認するため、要綱に基づき同法人の監査を行う。「経費を過大に計上していた事実が明らかになれば、改善指導する」としている。 なお、この記事に関して、東京都内の作業所で働く「俺のツボにはまりますか」さまのブログにおきまして、詳しい解説がありますので、そちらもご参照ください。http://blogs.yahoo.co.jp/inusukewanwan/28765811.html
その2 『創』2007年3月号掲載 斉藤貴男「非国民のすすめ」第21回〜格差社会と戦時体制〜
※アメリカにおける障害者作業所と軍隊との関係に関する記事の抜粋です。
障害者自立支援法に関わる取材で、共同作業所と呼ばれる社会就労センター(福祉的就労施設)を訪れたときのことである。作業所で産み出されるのは、市役所などで売られている藍染やパンばかりではない。消費者に配送される商品のパッケージに広告チラシを封入したり、自動車の部品を袋詰めしたりといった、一般企業からの下請け仕事も結構しているものなのだ。
諸外国では、どんな具合なのでしょうかと尋ねると、相手の方は苦笑した。最近、アメリカを視察してきた障害者福祉関係者に聞かされた話だという。 「あちらの就労施設では、仕事がなくて困るということはあまりないそうです。私の知り合いが見学した施設はクリーニングを請け負っていたようですが、ただ、発注元が軍隊だった。赤い血に染まった軍服を、障害者たちが洗っていたとか」 ベトナム戦争の時代に、埼玉県内の障害児施設が戦争に協力しているといって騒がれたことがあった。教育の一環として子どもたちに作らせた麻袋がベトナムに輸出され、米兵の死体を運ぶのに使われたたしいという。 福祉を大企業や大金持ちの慈悲に頼るアメリカ式の社会システムは、しかし結局、戦争と切っても切り離せない運命だ。国内の富だけでは満たしきれない胃袋や欲望を抱えた大国が、海外の富をもってこれを賄おうとするから、戦争とは起こるものであるゆえに。 アメリカの軍隊が世界で最も多くの雇用機会を提供している集団の一つであることも間違いない。特にマイノリティの若者が、せめて人並みの教育を受けたい、社会の表舞台に浮上したいと思えば、まずは自ら戦場を志願するしかない。 アメリカの障害者たちは、軍服のクリーニングの他にはどんな戦争協力をさせられているのだろう。知りたい。取材したい。
アメリカの障がい者と軍隊の関係に驚きました。斉藤先生の取材に期待します!!
実は…シマウマ女自身も、障がい者の作業所の取材をいつかやりたいと考えていました。
ウィキペディア「障害者自立支援法」より抜粋
作業所等の通所施設を利用すると、作業に対する報酬として、
平均で見ると月額約1万円程度の「工賃」(厳密には労働に対する賃金とは異なる)が支給されます。 従来、通所施設の利用料は原則ゼロであったので、支給される工賃を小遣いにすることをはげみに、 「働きがい」を感じる通所障害者が多かった。 ところが自立支援法の施行後、月約3万円の利用料と食費が請求されることとなったので 差引き2万円の自己負担が発生するようになった。 その結果、少なくない障害者が「働きがい」を失い、または、自己負担に耐えられないために 通所施設の利用を中止するようになっています。
あの事件の「犯人」も、「仕事が忙しくてストレスでイライラしていた」とのこと。
もちろん、障がい者にストレスを与えないよう、作業所の相談員などは配慮すべきでしたが、ああいった事件の背後に、「自立支援法」(別名:自立『阻止』法)の問題があったのです。
あの事件以降、事件の舞台となった作業所は、どのような思いで過ごしていたのか…
機会があれば、作業所を訪ねてインタビューしたい、 あの事件の作業所が無理なら、自分の知り合いなどを通じて、作業所の実態などを知りたいと 考えていたところでした。 最近は本業のほうは少し落ち着いて残業は減ったものの、 これからは統一地方選挙などで忙しくなる予定。 だけど「作業所への取材・インタビュー」は、何だかの形で今年中に行ない、 ブログの記事にもしたく考えています。 |
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