中国の格言に「書を読めば万倍の利あり」とある。読書によって目からうろこが落ちるような経験をした人も多いだろう。本を読めば多くの利益があり、決して無駄にはならないと古人は知っていたようだ 本紙で連載している作家の瀬戸内寂聴さんが岩手県の天台寺で行っている法話を集めた「寂聴あおぞら説法T」(光文社)にこんな言葉があった。「想像力を鍛えるには本を読むこと」。そうして鍛えた想像力は犯罪の抑止力にもなろう 秋葉原の無差別殺傷をはじめ、大阪の女子中学生によるひき逃げなど若者の悪質な事件が目につく。それは、人を刺したり、車でひけばどうなるか、といった結果に対する想像力が乏しいからではないか。瀬戸内さんは「思いやりは想像力から生まれる」とも言っており、得心がいく 県立図書館では若者を呼び込むために、10代向けのコーナーを新設した。若いころに読書で得たものは人生の友となり、人を思いやる心を育ててくれる 読書週間が始まった。今年の標語は「おもわぬ出会いがありました。」。本を読んで万倍の人生の友と出会ってほしい。
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