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掲載日 : 2006年5月14日 


 【 記 事 】  日本マクドナルド、“聖域”の加盟店を再編
         (2006年5月8日記事:日経ビジネス2006年5月8日号10ページより)

 4月24〜25日、大阪と東京で日本マクドナルドホールディングスの加盟店オーナー約390人を集めた会議が開かれた。そこで原田泳幸・会長兼社長兼CEO(最高経営責任者)は壇上からオーナーに向かってこう問いかけた。

 「直営と加盟店の売上比率は7対3。今後、加盟店の割合を高めていきます。反対の方はいらっしゃいますか」

 売り上げが増えることに異論を挟むオーナーはいない。原田社長は全員の意思を確認したうえで、加盟店を再編する構想を告げた。実はこれ、カリスマ創業者である故藤田田氏による加盟店戦略からの決別にほかならない。

オーナーが成長できない!

 日本マクドナルドは1979年11月、経験を積んだ社員の独立を支援する社員フランチャイズ制度を発足、埼玉県東松山市に第1号店が誕生した。以来、現在に至るまで350人の社員がオーナーへと転身している。特に、94年から標準店を3分の1に小型化した「サテライト店」を本格的に展開、大量出店戦略を推し進めたことで、加盟店も大幅に増えた。

 社員フランチャイズ制度では、会社は店舗運営能力の高い人材だけに適用を認めている。それだけに加盟店といえども、接客などサービスレベルは直営店に劣らない。オーナーは社員時代よりも高給を得るチャンスが生まれる。本部にとってもオーナーにとってもメリットは大きい、はずだった。

 ところが、外食業界は過当競争に陥り、オーナーが1店舗の売り上げを伸ばし続けることはもはや難しい。豊富な資金力がないオーナーは、店舗数を増やすこともままならない。1オーナー当たり所有する店舗数は平均2.5店。日本マクドナルドは「温かみのある雰囲気」をテーマとした店鋪改装を進めているが、その費用の捻出に苦労するところも出てきている。

 業績を見ると2005年4月に始めた「100円マック、500円バリュー」で客足は伸びたものの、利益は大幅に悪化した。当時から原田社長は「まずは客数を増やし、その客数を維持しながら客単価を上げて企業を成長させる」と、戦略の狙いを説明していた。

 ここにきて、人気モデル「エビちゃん」こと蛯原友里の起用で高価格の「えびフィレオ」(270円)がヒットするなど、売り上げは回復基調にある。「2002年の59円バーガーのような、戦略なき価格改定をした当時と今は違う」と原田社長は強調する。

 とはいえ、薄利多売で規模による利益を追求するビジネスモデルは変わらないだけに、抱える店舗数の少ないオーナーが大きく収益を改善するのは難しく、改革の余地が残されていた。

 今回の再編構想では、地域ごとに加盟店を束ねてオーナーが受け持つ店舗数を増やし、規模のメリットを享受できる体制にする。「米国ではオーナーは数十店を運営する。日本が一気にそこまでいくとは思わないが、地域によっては直営店を加盟店に変更する作業も進めていく」(原田社長)。

 日本マクドナルドが打ち出した具体的な方針は3つある。
 第1に、オーナーを社員フランチャイズ制度に見られる「店長の延長」ととらえるのではなく、一経営者として扱うことにする。原田社長は「経営能力と財務能力、そして店舗運営能力」とオーナーに必要な資質を示す。

 そこには日本マクドナルド出身者が9割を占めるオーナーに対して経営者としての資質を問うことに加え、現在わずか1割しかいない法人が運営する加盟店を増やすことも目論んでいる。

 ある自動車ディーラーが運営する店舗では、自動車販売店への来店客が食事に寄るために業績が上がっている。これまでは加盟店の展開を社員フランチャイズ制度に頼っていたため、こうした相乗効果が見込める場所への出店が進まなかったことへの反省がある。

脱カリスマ、総仕上げへ

 第2に契約の見直しだ。日本マクドナルドは時期や地域によって契約にバラツキがある。例えば、本部に支払うロイヤルティーが売り上げの6.5%という加盟店がある一方で、売り上げに応じてロイヤルティーが変動する加盟店もある。これはオーナー間の不満につながっており、今後は契約内容を一本化していく。

 第3に規模の小さいサテライト店を業態転換していく。原田社長は「売り上げの多い店と少ない店の差が10倍以上もある」と現状を説明する。この差を埋めていく作業を始める。

 日本マクドナルドは5月13日から、「サラダディッシュ“グリルチキン”」(490円)などを投入、メニューを拡充する。だが、厨房が狭く、客席が少ないサテライト店では標準店と同じようには対応できない。

 そこで、収益を生む新たなビジネスモデルの開発に取り組む。飲食業のノウハウを持つ会社との共同企業体を視野に入れている。早ければ年内にも実験を始める予定だ。

転機を迎えた加盟店ビジネス

 実は日本マクドナルドが加盟店問題に着手したのは2005年に入ってからと出遅れた。「恥ずかしい話だが、2004年5月に社長に就任して以来、1年間、加盟店の問題が耳に入ってこなかった」と原田社長は明かす。

 ここに、社員フランチャイズ制度の問題点が垣間見える。日本マクドナルドの“卒業生”であるオーナーは、本部の社員にとっては大先輩に当たる。このため、加盟店担当の社員は本部を代表するのか、オーナーを代弁するのか、中途半端な立場だった。

 米国本社や異業種などから人材を登用し、藤田氏による個人商店という色彩を薄めてきた原田体制にとって、加盟店問題は最後に残った旧体制の“負の遺産”と言える。

 そこで原田社長は自らがオーナーと対話するための議論の場を設けた。そのうえで今回の加盟店再編に向けて大まかな枠組みを説明するなど、着々と準備を進めてきた。

 日本の加盟店ビジネスは、社員が独立した日本マクドナルドに限らず、地域の酒販店を取り込んだコンビニエンスストアなど、オーナーの規模が小さいところが多い。本部は出店を増やすことで増収増益を果たしているものの、過当競争に巻き込まれた既存店は売り上げが伸びずに苦戦を強いられがちで、各社は頭を悩ませている。

 日本マクドナルドの加盟店再編は、この問題を直視したうえでの結論だ。ただし、これまではカリスマ藤田氏の求心力で本部とオーナーが信頼関係を培ってきただけに、拙速に事を進めると、信頼関係を損ないかねない。

 「再編に合意した地域から始めていく。オーナーを(合意したかどうかで)点数づけするような真似はしない」と原田社長は語るが、再編にむやみに時間をかけるわけにはいかない。プライドの高いオーナーをどう説得して着地点を見いだすか――。脱カリスマの総仕上げは、日本における加盟店ビジネスを問い直す作業となる。

出典:日経ビジネス2006年5月8日号
   
http://www.nikkeibp.co.jp/news/biz06q2/503064/
    http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20060502/101912/



日本マクドナルド、加盟店の再編でビジネスモデルの活性化に動き出す

 1971年の創業で、今年で35周年にあたる日本マクドナルド社が、新体制でFC(フランチャイズ制度)ビジネスモデルの再構築に挑む記事です。故藤田氏の個人商店的経営の色彩が強かった日本マクドナルド社は、FC制度で成長してきた代表的な企業ですが、他社のFC制度と少し異なる特徴を有しています(記事参照)。

 時にFC制度の曲がり角ともいわれる昨今、その雄である同社が(FC制度の)新たな形態・再編を模索することになりますが、FC制度の新機軸・道しるべを示すことになるかが問われるものと思われます。

 その再編プロセスは時間と苦労が伴うことは否めません。しかし、FC制度の雄の一角である同社には、その潜在的なノウハウやパワーがあるので、きっと成し遂げてくれるものと期待しています。



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