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「病院、都、国など力合わせ改善を」妊婦死亡の夫会見

2008年10月28日0時46分

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写真記者会見する死亡した妊婦の夫(手前)=27日午後、東京・霞が関の厚労省、飯塚悟撮影

 脳出血を起こした妊婦が東京都内の8病院に受け入れを断られた後に死亡した問題で、夫の都内の会社員男性(36)が27日、厚生労働省で会見した。男性は時折言葉を詰まらせ、「妻が死をもって浮き彫りにした問題を、医者、病院、都、国が力を合わせて改善してほしい」と再発防止を訴えた。

 「生と死が同時に起こり、正直混乱している」。男性は静かに切り出した。「最も悲しいのは、母親が子どもの顔を見ることができず、子どもも母親の顔がわからないままになってしまったことです」

 男性によると、妻が体調不良を訴えたのは今月4日夕。かかりつけ医の指示で救急車を呼んだ後、妻が頭痛を訴え始めた。「こんなに痛がる人は見たことない」というほどの痛がり方だった。

 かかりつけの産婦人科に着いた。手に負えないと判断した医師らは、別の病院で診てもらうために電話をかけたが、次々と断られた。「文明や医療が発達した都会で、こんなに痛がっている人を誰も助けてくれないのかという気持ちと、どうすることもできない無力感。代われるものなら、代わってあげたい」と思ったという。

 都立墨東病院(東京都墨田区)が、2度目の電話の後に受け入れを伝えてきた。最初の電話から約1時間。搬送中、男性は妻の手を握り、「目を開けろ」と叫び続けた。到着する頃、妻は目を開けられなかったが、手をしっかり握り返してきた。

 8年前に結婚。妊娠し、妻は胎教用のCDや育児雑誌を買い込んで、毎日おなかの子に話しかけた。「芯が強く、優しい人」だったという。

 妻が亡くなる7日の昼。無事に生まれた男児が保育器で病室に運ばれてきた。意識のない妻の腕に赤ちゃんを抱かせてもらった。少しの時間、親子3人だけで過ごした。「妻と子どもが一緒に生きたのは3日間だったが、(病院側に)温かい配慮を頂けた」

 かかりつけ医側と各病院側で搬送経緯の説明が食い違う点について、男性は「誰も責める気はない。当直医が傷ついて辞めて産科医が減ったら意味がない」。都や病院を訴えるつもりはないという。

 今後の改善点を問われた男性は、産科医不足やネットワークシステムが機能しなかった問題を挙げ、「同じ状況の妊婦が発生したときに、1時間もかけないで」と求めた。

 そして、お産をめぐる状況が改善することを願って、こう語った。「具体的に何かが変わったら、息子に『これを変えたのはおまえのお母さんだよ』と言いたい」(野瀬輝彦)

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