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■ 秋田のニュース:社説

社説:医療・介護の試算 数字の独り歩きが怖い

 大量の「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者に仲間入りする2025年には、わが国の高齢化がピークを迎える。その時に、国民にとって大切な医療と介護はどうなるのか。

 その一つの姿をイメージする政府の試算が、社会保障国民会議の分科会に示された。医療と介護サービスはこうあってほしいという「あるべき姿」を実現すると、全体の費用はどれくらいになるかを具体的に示したものである。

 その結果出てきた数字の巨大さに、まず目を奪われてしまう。医療と介護合わせて約41兆円(07年)の費用が、現行のサービス体制のままの「現状投影シナリオ」だと85兆円。サービスを充実させる3通りの「改革シナリオ」になると、91兆—94兆に膨らむというのだ。

 政府が強調したいのは、この後の数字かもしれない。最終的に公費による新たな財源措置が必要であり、現状型で約11兆円、消費税の約3%に相当し、改革型だと14兆—15兆円で消費税率は約4%。もちろん保険料負担も増えての話である。

 将来の安心を確保するには、これだけ多大なコストがかかるし、自己負担も税負担も増えますよ、と言っているようなものだ。裏を返せば、将来の消費税増税への布石とみていい。

 確かに社会保障の将来像を語る上で、安定的財源としての消費税論議は欠かせない面がある。しかし、その前にしなければならないことがある。行財政の無駄を徹底的に省くことだ。

 特に年金記録の不備や改ざん、保険料のつまみ食いなど、最近は厚生労働行政のずさんさが次々と表面化している。国民の不満は、もはや爆発寸前の状態にある。こうした問題を解決した上での消費税論議でなければ、国民の理解は到底得られないことを強調しておきたい。

 今回の試算で示された改革型は、「医療から介護へ」「施設から在宅へ」の流れで、重点化や効率化の徹底を図ったのが特徴である。早めの治療やケアが受けられる利点がある一方で、病院や施設から「在宅へ移行」という圧力が家族の過度の負担にならないか心配だ。

 いずれ、基本に据えているのが介護の充実である。問題は、試算の前提となる人の配置や施設の充実が実際に可能なのかどうか、という点だろう。

 例えば、ヘルパーら介護職員の数だ。現在の約117万人から250万—255万人と2倍以上に増やすというが、介護現場は低賃金のため人材確保が難しい現状にある。倍増は至難の業と言ってもいい。道筋をしっかりと付けなければ、机上の空論になりかねない。

 財政削減を優先させた従来とは逆の発想で試算したことには注目したい。ただし、あくまで議論のたたき台にすぎず、消費税率などの数字が独り歩きすることは避けなければならない。

(2008/10/26 09:40 更新)

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