国立大45病院のうち約6割で資金収支が昨年度赤字になっていたことが27日、国立大病院長会議の調査で分かった。病院への運営費交付金減額などが主な理由という。同会議は「将来の医師養成や医療崩壊につながりかねない」として、運営費交付金の見直しなどを求めた。
国立大病院の経営をめぐっては、文部科学省はこれまで借入金を考慮しておらず、同会議が実態を把握するために改めて分析した。
それによると、業務収入が約1311億円だったのに対し、設備投資や財政投融資の返済金など約1387億円の支出であることが判明した。28病院が赤字で、その総額は約135億円に達した。
医師の過重労働や臨床研究などに支障が出ており、10年度から始まる国の第2期中期目標で病院運営費交付金の見直しなどが必要と提言している。
代表の河野陽一・同会議常置委員長は「医師の養成や新しい治療方法の開発など、国立大病院が社会に果たす役割は大きい。経営努力だけでは限界がある」と話す。【河内敏康】
毎日新聞 2008年10月27日 22時18分