地方の道路事業は過小評価されているとして、県は地域特性を踏まえた評価の必要性を国土交通省に提案した。「道路は地方にとって将来のチャンスの保障」と訴え、紀伊半島一周高速道路の早期整備などを求めている。 道路の新たな中期計画策定を進める国交省から、意見・提案の照会があり、県が回答した。意見募集は都道府県や市町村、一般を対象にしている。 従来の道路事業は「走行時間短縮」「走行経費減少」「交通事故減少」の直接効果に対する、事業費と維持管理費で評価してきた。 県は「外国では間接効果も含め、多様な評価をしている」と指摘。「災害対策」「救急医療」などの安全・安心や、「観光」など地域振興の要素、「環境の改善」などを加味すべきだとしている。 また、地方は「道路整備による誘発効果が大きい」と主張。2007年度に開通した高速道路みなべ―田辺間の1日の交通量は開通前に5500台と推計していたのに対し、実際は1万600台と約2倍ある。海南―有田間も推計1万9300台が2万5900台と予測を大きく上回る実績を挙げている。 仁坂吉伸知事は「都会とは逆の現象。道路が整備されることでチャンスが生まれ、それを生かしている。こういった要素を加味すれば、評価計算はまったく違ってくる」と話している。 県は道路整備の在り方について「地方の住民は、都市部に比べ多くの揮発油税を負担してきた。これ以上地方の道路整備が滞ることは容認できない」「幹線道路網は国が責任を持って整備すべきで、財源は確保されなければならない」との見解を示している。