フランチャイズ研究所 黒川孝雄のブログ

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フランチャイズ時評

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法人・複数フランチャイジーの将来性
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コンビニオーナー世論調査に関する考察
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トーマス・S・ディッキー著「フランチャイジングー米国における発展過程」を読む(1)
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「フランチャイズ・ショー2004」から見える動向
フランチャイジーフォーラムを考える
フランチャイズ本部に対する評価基準について

2003年
08年10月号
コンビニオーナー世論調査(2008年版)に関する考察

 月刊コンビニ(商業界刊)08年9月号に「2008年版コンビニオーナー世論調査」が掲載された。05年、06年に続く三回目の調査である。
 今年も、編集長の同意を頂いて、FC時評に掲載させて頂くことになった。同社のご好意に厚く感謝する。

データの性格について
 この調査は「月刊コンビニ」の定期購読者に対して7月下旬に雑誌発送に同封して送付し、7月31日までの約1週間に回収した84件の回答を集計・整理したものである。
 第2回調査が06年5月号に同封され、コンビニの年間最盛期を避けたため、合計242名の回答者があったのに比較して、今回の調査は7月下旬という最盛期であったためか、回答者は84名と少ない。しかし,資料価値は、極めて高いものであり、回答内容は調査時点のコンビニの経営状況を強く反映しているように思われる。
 前回も指摘したが、回答者は「月刊コンビニ」の定期購読者で、かつコンビニオーナーに限定されているため、無条件で世間一般のコンビニオーナーではない。「月刊コンビニ」の定期購読者というバイアスの掛かったデータであることに注意しなければならない。
 しかし、この調査結果に偏向や間違いがある訳ではない。むしろ、月刊誌を毎月定期購読する勉強熱心なオーナーであり、意識的には進んでコンビニ経営を勉強しようとするオーナーのご意見であることに注意を促したに過ぎない。
 第2回調査が64問と過去一番多い項目であったが、今年の調査は17項目に絞られ、一段と深堀りされた形跡が見られる。また、各設問ごとに笠井清志氏、加藤直美氏等のベテランの「ひとこと」も付けられている。
 筆者も、この編集者の意向を考え、6項目に絞って考察してみる。詳しくは「月刊コンビニ」9月号を購入して勉強してもらいたい。

T 売上や営業利益について満足していますか。

大変満足  3.6%  少し満足  36.9%
少し不満  34.5%  不満 25.0%

「大変満足」「少し満足」の合計が約40%に対して、「少し不満」「不満」が60%という回答であり、不満と感じているオーナーが過半を占めている。
その理由は
大変満足
  • 平均日販が比較的高く、何より営業利益が1000万円を超えているため。少し満足
少し満足
  • 現在の売上でコンビニの中でも上位にいる。利益はロイヤルティの面で改善があれば良い。
  • 高日販の店になった今では、売上自体には満足しているが、年に3カ月は最高率のロイヤルティになるのが少し不満。
  • 売上は良い。ただ、近隣に自社チェーンが出店して影響があった。
やや不満
  • 売上げ、利益の絶対額は地区をかなり上回っているが、4年連続で前年を割り込んでいる現状には満足できない。
  • サラリーマン時代より年収が低い。
不満
  • 売上げには満足だが、それに見合う営業利益ではない。ロイヤルティに不満。経費が増加(電気代、人件費)
  • 複数経営するメリットがない。競合が激しく、売上が厳しいため、家族経営で無い限り、人件費で利益が食われてしまう。複数店経営のロイヤルティの見直しが行われていない。


筆者の意見
 前回とは質問内容が異なるため、一概には比較できないが、第2回調査の「現在の手取り収入について」(第53問)の設問に対して
「満足している」  9.7%  「適当であると思う」  39.0%
「不満」  51.2%

手取り収入と営業利益とは、違う概念であるが、あえてこの2者を比較して見ると
前回は 「満足している」「適当である」が48.7%、「不満」が51.2%であり、今回は「不満」「少し不満」が9%程度増加している。
 コンビニ全体の既存店では、7年連続の前年割れが続いているため、売上高、営業利益面で不満とする回答が増えたと推察する。
 特に、ロイヤルティに対する不満の声が、今年は特に高いように感ずる。コンビニの経営構造は、1980年台に構築されており、高度成長の終わった現在、ロイヤルティ、ロス負担等経営構造を見直す時期に来ているように感ずる。特にC型店舗からの意見には、その感が強い。

U あなたの店と競合関係にあって、特に気になる業態はどれですか。

総合スーパーマーケット・スーパーマーケット 17.1%
ドラッグストア  9.0%  ファストフード  5.4%
他のコンビニチェーン  44.1%  自チェーンの店舗  14.4%
特に競合はない  9.9%
 前回の調査では、「異業態との競争」という設問で、次のような結果であった。
スーパーマーケット  48.6%  ドラッグストア  13.4%
ファストフード  13.0%  持ち帰り弁当店  13.0%
100円ショップなどの均一価格チェーン  24%
 今年の調査によれば、圧倒的に競争業態と意識しているのは、「他のコンビニチェーン」44.1%、「自チェーンの店舗」14.4%と約6割のオーナーがコンビニチェーンを競争相手と考えている。続いて総合スーパーマーケット・スーパーマーケット17.1%、ドラッグストア9.0%である。
 スーパーマーケットの24時間営業等コンビニとの競合がマスコミでは伝えられるが、オーナー達は商圏の規模の差、品揃えの差などから、同じ小商圏フォーマットであるコンビニ同士を競合関係にあると意識している。
その理由
総合スーパーマーケット・スーパーマーケット
  • 営業時間も長くなり、価格差が縮まったといっても、安い商品を販売しているため。対策は打つ手がないのが現状。
  • 年配の方は、生鮮を求めてスーパーに出向くため、なかなか来店しない。
ドラッグストア
  • ドラッグストアのコンビニ・ミニスーパー化が著しく、低価格販売が飲料、ベーカリー、即席麺で目立つ。
他のコンビニチェーン
  • 接客サービスの従業員教育を徹底。
  • 差別化対策としてFFを強化。
  • お客は立地で店を選ぶ傾向が強いため、近い店舗や動線が同じ店舗と競合する。接客、クレンリネス、欠品防止などを徹底。
自チェーンの店舗
  • 一番近いコンビニが自チェーン。品揃えの強化を図っている。
  • 最も頭を痛める。他チェーンでは対策も立てられるが、自チェーンではどうしようもない。


筆者の意見 スーパーとコンビニは利用動機が異なるので、必ずしも競合する訳ではない。
スーパーの24時間営業化によるコンビニ業態への影響が言われた時代があったが、お客は明らかに使い分けをしている。
同じ小商圏フォーマットである他コンビニチェーンに対する対策としては、フレンドリーサービス、品揃え、欠品防止、従業員教育等が上げられ、妥当な対策である。

V 販売期限の管理がきちんとできていると思いますか。

確実にできている。   57.6%
少しできている。   42.4%
その理由は
確実にできている
  • レジで販売期限切れにアラームがなるのは有難い。
  • 食品に対する意識が高まっている中、注意には注意をと徹底している。
  • 100%ではないが二重のチェックなど極力見落とさないルールを店内で徹底している。
  • 従業員教育と勤続年数が長い従業員が多いから。
少しできている
  • デイリー商品は出来ているが、袋菓子、珍味、和菓子などは見落としがち。
  • 時間を決めて定期的にチェックしているが、漏れがたまにある。
  • スケジュール化して、棚清掃の際にチェックしている。それでも定期的に再チェックを行うと、漏れを見つけることがある。スタッフにより作業のバラツキがある。


筆者の意見
 日本のコンビニは先端的小売業であり、世界一の精度を維持していると考えていたが、この調査結果には驚いた。まさか、期限切れの商品が棚に並んでいるなどとは思っても見なかった。
 確かに、珍味、袋菓子など賞味期限の比較的長い商品については、油断もあるだろうが、コンビニ商品の品質に対する信頼は極めて高いため、期限切れは絶対に防いでもらいたい。
 賞味期限切れ商品の販売が明になれば、チェーン全体に対する信頼が揺らぐ。徹底的にチェックしてもらいたい。

W あなたの店では労働法規が守られていると思いますか。

守られている。   56.6%  少し守られている。   32.5%
あまり守られていない。   8.4%  守られていない。   2.4%
その理由は
守られている
  • 労働基準法は自分なりに勉強している。
  • 6時間以上のシフトは極力作らない。作った場合は必ず休憩を入れる。
  • 36協定、労働保険、雇用保険をすべて守っている。
  • スタッフを確保するために必要。
少し守れている
  • 有給休暇の面でとらせてあげていない。特に要求がないため。
  • 実際問題として,法規遵守は無理。しかし、当局から指摘されないように努力する。
  • 改訂後の情報を収集しにくい。
あまり守れていない
  • 長時間の夜勤者に対して残業代を払っていない。
  • 仕事ができる人は長時間労働をさせてしまったり、休憩時間の確保ができておらず、あまりいい労働環境ではない。
守れていない
  • 1分単位での勤怠入力や有休の取得など。
  • 恥ずかしいが労働法規を具体的に知らない。実際に守ろうとすればもっとコストが掛かる。この採用難では、自分の体がもたない。


筆者の意見
「守られている」「少し守られている」が90%近いが、一方「あまり守られていない」「守れていない」の合計が10%強である。
 特に守れていないことは「有休休暇」「休憩時間」「社会保険の取得」の3点のようである。
 今年は、労働法規関係では「労働契約法」「パートタイム労働法」の改訂、更に判例としては、マックの「店長は管理職ではない」等重要な動きがあった年である。
 このように改訂された労働法規や判例等を、どのように加盟者に伝え、指導するかが問題である。
 労働法規は必ず守らなければならない法規範である。本部サイドの指導や伝達が重要である。

X SVの指導に満足していますか。

大変満足   10.7%  少し満足   41.7%
やや不満   26.2%  不満   21.4%

その理由は
大変満足
  • 今年SVに昇格した人が担当だ。売上をアップさせるため、一生懸命にアドバイスしてくれる。店内のレイアウトなど、マッサージしてくれる。
少し満足
  • 年数を重ねるにつれ、馴れ合いが障害。定期的な人事異動や配置換えなど新しい空気を入れることも大切。
  • 不勉強な面が多々見られる。本部からの情報を自分より理解していないことがたびたびある。
  • SVの仕事も多いと思うが、巡回の頻度が低い。1人当たり5,6店態勢でお願いしたい。
  • 売上を上げることより利益を大切にしてほしい。
やや不満
  • もう少し各個店の立場で、本当にその店が必要なものは何かを的確にとらえ、指導してほしい。どうしても本部の立場での指導が多い。
  • 本部の仕事は商品力や店舗開発ではなく,SVの力の向上である。SVの力を伸ばし、オーナーのやる気を上げることが重要。
  • SVのレベル、指導方針にバラツキがある。誰が担当になるかで、本部支援などが変わってくる。
不満
  • 言いたいだけ言って帰っていくなら、ファックスやメールでも十分。
  • ベテランのSVがいないので、指導レベルが低い。
  • 本来の業務である経営指導のレベルが低い。本部のメッセンジャーボーイの色が濃い。


筆者の意見
第2回の調査は、
大変満足している   5.0%  満足している   29%
あまり満足していない   32%  満足していない   25%
どちらとも言えない   9%     
 調査の内容が変化したため、一概に言えないが、前回の「大変満足」「満足」の合計が34%に対し、今回の「大変満足」「少し満足」の合計の52.4%は、約20%上昇している。
「大変満足」のみを比較しても、今回は2倍以上に増加している。従って、SVの経営指導に対する満足度は、前回と比較してかなり上昇していると言えるであろう。
 加盟店の要望は、「利益を上げたい」「売上高を上げたい」の2点に集約される。従って,SVの行動は「経営指導」と「成功店情報の伝達」の2点が重要であり、具体的には品揃え、単品管理の徹底等による店舗の活性化である。
 この2年間のコンビニの売上高、利益は必ずしも満足すべき状況ではなかったと思うが、足元の売上高アップも手伝い、SVに対する評価は向上している。

Y コンビニの24時間営業の規制について、どのように考えていますか。

規制すべきでない   50.6%     
規制すべきである   28.9%  その他   20.5%
その理由は
規制すべきでない
  • するか否かは個店が決める問題。儲かると思えばやればいいし12時間営業で利益が取れるならそうすればよい。
  • チェーン本部の方針であれば仕方ないが利益・売上げが減るのはどう考えるのかがカギ。それより、温暖化対策や廃棄商品をもっと早く軌道に乗せることが重要。
  • 本部の規制ではなく、業界内部から動きが出てほしい。深夜の時間帯は(駅前でも)、終電から始発まで、2人態勢が利益を食いつぶす根源である。
  • なぜコンビニだけなのか。
  • 行政が介入することではない。
規制すべきである
  • 店からすると深夜の人件費が浮く分、経費削減になり、利益が増える。
  • 店の負担が大きい。当番制でもいいと思う。
  • コンビニだけでなく、すべての業種で見直すべき。規制によらず、考え直すときである。二酸化炭素の削減だけではなく、過剰な消費スタイルやサービスによる従業員への負担、名ばかり管理職等の問題が山積している。
  • 環境問題に協力すべき。自分の生活パターンを考えると24時間はきつい。
その他
  • オイルショックのときのように、ガソリンスタンドの日祭日の強制休業ならば理解できるが、24時間操業の工場があるのに、コンビニだけというのはいかがなものか。


筆者の意見
 コンビニの深夜営業に対して規制しようとする自治体は京都市、埼玉県、東京都、神奈川県等である。規制の根拠は二酸化炭素排出量規制と省エネに主眼が置かれているが、青少年問題や景観問題にふれる意見も多いようである。
 これに対するコンビニオーナーの意見は、規制に賛成、反対の立場を問わず「なぜコンビニだけが規制の対象になるのか」という不公平感が強い。また商売の進め方について行政が介入することに不満を示す意見もある。
 ビジネス上の問題点について行政が介入したり、特定業種のみを狙い打ちする方法は、法律上も許されない行為であると考える。
 24時間営業については、チェーン毎に本部と加盟店の双方が考えて結論を出すべき問題であり、行政が口を出すべき問題ではない。
 北海道に地盤を置く「セイコーマート」(約千店)は、基本契約は16時間営業、全店の平均営業時間は20時間、24時間営業店は28%であり、フレキシビリティのある会社である。(月刊コンビニ10月号)
 コンビニは一律ではない。さまざまな個性を持ったコンビニが生き残れるのである。

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