多摩川「二子橋」だより2005年5月号

2005.5.31(雨)
 昨日から降り続いた雨は今朝になっても止みません。気温も低く肌寒さを感じます。
 水量は雨の影響で増水しています。先月と比較すればお分かりのように中州の一部が水没しています。
 沖縄では先週梅雨に入ったと天気予報で報じていましたが、これから本州へと移動してまいります。毎年、豪雨による増水のため各地で被害が発生しています。天気予報を注意深く聞き避難等速やかに行いたいと思います。
 
1982年夏の増水(二子玉川)

1974年狛江水害
              
 下2枚の写真は、ここ、二子玉川で1982年の増水の様子と、ここから約5km上流で1974年に発生した狛江水害の様子です。
 洪水の歴史は古く、当財団の研究助成に「多摩川の洪水と環境変動ー近世多摩川洪水史と完新世段丘ー」2001年 増渕和夫
 の調査結果によると、多摩川では1550年(天文19年)から1925年(大正14年)までに468回の洪水を記録しています。
 本書の冒頭部分を抜粋してご紹介します。

 河川が洪水氾濫を起こすのは自然現象であるが、水害はそのすべてが自然現象とはいえない。特に現代においては、内水型氾濫に顕著であるが、人為によることが明らかなものも存在する。洪水氾濫が発生してもそこに被害が生じなければ、水害は「発生」しない。近世以降の多摩川の洪水氾濫自然史を明らかにするのが、本報告の第一の目的であるが、地質学的には極めて短い期間であるがゆえに、地形や地質からこの目的を達成させるのは困難であり、文書記録に重点を置かざるをえない。その文書記録の多くは、水害の記録である。ここに既に本報告の目的と結果とに避けることの出来ない乖離が生じている。しかし、近年多摩川流域の市町村などからは、近世の様々な日記類刊行が相次ぎ、これら日記類には必ずしも水害でない、洪水氾濫の記録が散見する。例えば、八王子市の「石川日記」や福生市の「多摩自慢石川酒造文書」などにみられる、ただ、「出水」や「大水」などとあり被害の記載されていない記述は、水害でない洪水氾濫と考えられる。・・・・・・・・・・

本ページは財団職員の藤井が通勤途中電車が東急新玉川線二子橋を通過中に車窓より
多摩川上流を撮影したものです。下車し河川敷を散策した様子もお知らせします。



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