1982年夏の増水(二子玉川)

1974年狛江水害
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下2枚の写真は、ここ、二子玉川で1982年の増水の様子と、ここから約5km上流で1974年に発生した狛江水害の様子です。
洪水の歴史は古く、当財団の研究助成に「多摩川の洪水と環境変動ー近世多摩川洪水史と完新世段丘ー」2001年 増渕和夫
の調査結果によると、多摩川では1550年(天文19年)から1925年(大正14年)までに468回の洪水を記録しています。
本書の冒頭部分を抜粋してご紹介します。
河川が洪水氾濫を起こすのは自然現象であるが、水害はそのすべてが自然現象とはいえない。特に現代においては、内水型氾濫に顕著であるが、人為によることが明らかなものも存在する。洪水氾濫が発生してもそこに被害が生じなければ、水害は「発生」しない。近世以降の多摩川の洪水氾濫自然史を明らかにするのが、本報告の第一の目的であるが、地質学的には極めて短い期間であるがゆえに、地形や地質からこの目的を達成させるのは困難であり、文書記録に重点を置かざるをえない。その文書記録の多くは、水害の記録である。ここに既に本報告の目的と結果とに避けることの出来ない乖離が生じている。しかし、近年多摩川流域の市町村などからは、近世の様々な日記類刊行が相次ぎ、これら日記類には必ずしも水害でない、洪水氾濫の記録が散見する。例えば、八王子市の「石川日記」や福生市の「多摩自慢石川酒造文書」などにみられる、ただ、「出水」や「大水」などとあり被害の記載されていない記述は、水害でない洪水氾濫と考えられる。・・・・・・・・・・ |