こんな事、こんな所で公表するべきではなかった。
本当の意味で、後悔している。
しかし、
一度話してしまったからには最後までここに書く。
これは俺の気持ちを整理する為だけの記事。
他人に影響を及ぼすことのない記事。
君には関係の無い記事だ。
そして、
Tの話はこの記事をもって最後とする。
それ以降は一切口外にしない。
この記事はしばらくして消すこととする。
これは、俺の傷。
一生消えることのない、
一生消したくない傷。
Tが居た現実。
傷となって、残る。
先週の金曜日。
Tが自殺した。
どうやって死んだか、何故そうなったのかは分からない。
死因だけは、誰かに訊けば分かりそうだが、とてもそんな気にはなれない。
俺は知識欲だけで彼女の死を悼んでいる訳ではないのだ。
Tは俺の同級生。
俺と同じく、今年で高校二年生だった。
小学校、中学校と共に過ごしてきた。
Tは他の女の子と違った人間だった。
孤立している俺に近付いてきてくれた。
笑顔が可愛い少女だった。
学年で五本の指に入るくらい可愛かったかな。
そんな少女が小六になると俺に「好き」と言ってくれた。
それは、「手紙」という形で。
そこで俺は過ちを犯した。
この過ちは、Tの心を踏み躙るものになった。
Tの死は、公にはされなかった。
自殺、という死に方では、一般的に密葬という形になる。
公にされないのは、当然の話だ。
しかし、俺は知ってしまった。
知らないのが普通であった筈なのに、
知らされてしまった。
それはとある朝のメール。
送り主は、つい20分前まで何事も無く共に登校していた友人だった。
内容は「田中が自殺した。」という簡略的な文章だった。
仮に俺がこのことを知らなければ、それを伝えたこの友人を恨んだだろう。
知ってしまった今としては、どうしようもなく、彼女の死を受け入れるしかない。
誤解はしないで欲しい。
俺は「可哀想」ではないのだ。
悲しいのはTの家族だ。
俺なんて
Tの死を悲しむことも出来ない、ただの人間なのだ。
俺は考えていた。
普段使わない頭で、出来る限り考えていた
時間をかけて。
彼女がそうなってしまった、その訳を。
そして俺が彼女にしてあげられたことを。
中学一年生の時、
Tがリストカットをし始めた。
教師がTの家へ行き、自傷行為を止めさせる内容のプリントを作成し配布し、HRでそのことを話していたのを覚えている。
俺はTがリストカットをしているのを知っていたが、
自ずと已めるだろうと自己暗示していた。
そんな中、偶然、俺とTは放課後の教室で居合わせた。
Tは目の前に立ち、華奢な腕を差出し、俺に見せた。
未だ新しいものなのだったのだろうか、赤く腫れあがった一本の線、
そして、幾つもの赤い線が腕に入っていた。
徐に、Tはどこかに持っていたカミソリで
その華奢な腕に新しい線を付けた。
ツーと赤いものがその腕から流れ落ちていた。
Tは言った。
「ほら、こうやって切るんだよ?」
Tはまるでいたずらに成功したかのような笑顔で笑っていた。
俺には、
俺にはちゃんと、自分を築いていたプライドがあった。
取り敢えず俺は、Tの持つカミソリを取り上げることにした。
「ちょっとそのカミソリ、見せて」
なんて言葉を使って。
所が、Tは
「渡したら返してくれないんでしょ」
と笑顔で応えた。
Tは知っていた。
「う、ばれてたのか」なんて言いながら
俺は後ずさった。
そしてTをそのまま帰してしまった。
何も言えずに。
俺の安いプライドは、
彼女の自傷行為を止めさせようとした、ということで満足していた。
俺はただのエゴイストだったのだ。
優しさではなかった。
とんでもない、罪だ。
Tの手の中には、
未だ鋭く光る、金属の刃物が残っていたのだから。
そして俺とTは中学を卒業し、
離れ離れになった。
その時に俺が、
彼女の目を見て話すことが出来たのなら、
彼女に心から優しさを振り与えていれば、
もしかすると、
彼女は今生きていたかもしれない。
これは、俺の傷。
消えることのない、
消したくない傷だ。
どうして、彼女は気付かなかったのだろう。
独りで生きている訳じゃないということに。
ドラマや小説なんかでよくあるフレーズだろう。
どうして気付かなかったのだろうか。
また会えると思っていたのに。
俺が原因ではないのかもしれない、
俺が原因だったのかもしれない。
そんなことは判らない。
だけど、
俺はTにしてあげられることをしなかった。
その償いは、させて欲しい。
Tの親御さんに連絡して許可を得れれば線香だけでも添えさせてもらおう。
Tはそれを望んでいないかもしれない。
だけど俺はそこでけじめをつけさせてもらう。
Tが生きていたことは忘れない、
そしてこれからは人を思い、生きていくと。
俺の前で二度と、
「死にたい」なんて誰にも言わせないように。
この記事にコメントは必要無い。
本当の意味で、後悔している。
しかし、
一度話してしまったからには最後までここに書く。
これは俺の気持ちを整理する為だけの記事。
他人に影響を及ぼすことのない記事。
君には関係の無い記事だ。
そして、
Tの話はこの記事をもって最後とする。
それ以降は一切口外にしない。
この記事はしばらくして消すこととする。
これは、俺の傷。
一生消えることのない、
一生消したくない傷。
Tが居た現実。
傷となって、残る。
先週の金曜日。
Tが自殺した。
どうやって死んだか、何故そうなったのかは分からない。
死因だけは、誰かに訊けば分かりそうだが、とてもそんな気にはなれない。
俺は知識欲だけで彼女の死を悼んでいる訳ではないのだ。
Tは俺の同級生。
俺と同じく、今年で高校二年生だった。
小学校、中学校と共に過ごしてきた。
Tは他の女の子と違った人間だった。
孤立している俺に近付いてきてくれた。
笑顔が可愛い少女だった。
学年で五本の指に入るくらい可愛かったかな。
そんな少女が小六になると俺に「好き」と言ってくれた。
それは、「手紙」という形で。
そこで俺は過ちを犯した。
この過ちは、Tの心を踏み躙るものになった。
Tの死は、公にはされなかった。
自殺、という死に方では、一般的に密葬という形になる。
公にされないのは、当然の話だ。
しかし、俺は知ってしまった。
知らないのが普通であった筈なのに、
知らされてしまった。
それはとある朝のメール。
送り主は、つい20分前まで何事も無く共に登校していた友人だった。
内容は「田中が自殺した。」という簡略的な文章だった。
仮に俺がこのことを知らなければ、それを伝えたこの友人を恨んだだろう。
知ってしまった今としては、どうしようもなく、彼女の死を受け入れるしかない。
誤解はしないで欲しい。
俺は「可哀想」ではないのだ。
悲しいのはTの家族だ。
俺なんて
Tの死を悲しむことも出来ない、ただの人間なのだ。
俺は考えていた。
普段使わない頭で、出来る限り考えていた
時間をかけて。
彼女がそうなってしまった、その訳を。
そして俺が彼女にしてあげられたことを。
中学一年生の時、
Tがリストカットをし始めた。
教師がTの家へ行き、自傷行為を止めさせる内容のプリントを作成し配布し、HRでそのことを話していたのを覚えている。
俺はTがリストカットをしているのを知っていたが、
自ずと已めるだろうと自己暗示していた。
そんな中、偶然、俺とTは放課後の教室で居合わせた。
Tは目の前に立ち、華奢な腕を差出し、俺に見せた。
未だ新しいものなのだったのだろうか、赤く腫れあがった一本の線、
そして、幾つもの赤い線が腕に入っていた。
徐に、Tはどこかに持っていたカミソリで
その華奢な腕に新しい線を付けた。
ツーと赤いものがその腕から流れ落ちていた。
Tは言った。
「ほら、こうやって切るんだよ?」
Tはまるでいたずらに成功したかのような笑顔で笑っていた。
俺には、
俺にはちゃんと、自分を築いていたプライドがあった。
取り敢えず俺は、Tの持つカミソリを取り上げることにした。
「ちょっとそのカミソリ、見せて」
なんて言葉を使って。
所が、Tは
「渡したら返してくれないんでしょ」
と笑顔で応えた。
Tは知っていた。
「う、ばれてたのか」なんて言いながら
俺は後ずさった。
そしてTをそのまま帰してしまった。
何も言えずに。
俺の安いプライドは、
彼女の自傷行為を止めさせようとした、ということで満足していた。
俺はただのエゴイストだったのだ。
優しさではなかった。
とんでもない、罪だ。
Tの手の中には、
未だ鋭く光る、金属の刃物が残っていたのだから。
そして俺とTは中学を卒業し、
離れ離れになった。
その時に俺が、
彼女の目を見て話すことが出来たのなら、
彼女に心から優しさを振り与えていれば、
もしかすると、
彼女は今生きていたかもしれない。
これは、俺の傷。
消えることのない、
消したくない傷だ。
どうして、彼女は気付かなかったのだろう。
独りで生きている訳じゃないということに。
ドラマや小説なんかでよくあるフレーズだろう。
どうして気付かなかったのだろうか。
また会えると思っていたのに。
俺が原因ではないのかもしれない、
俺が原因だったのかもしれない。
そんなことは判らない。
だけど、
俺はTにしてあげられることをしなかった。
その償いは、させて欲しい。
Tの親御さんに連絡して許可を得れれば線香だけでも添えさせてもらおう。
Tはそれを望んでいないかもしれない。
だけど俺はそこでけじめをつけさせてもらう。
Tが生きていたことは忘れない、
そしてこれからは人を思い、生きていくと。
俺の前で二度と、
「死にたい」なんて誰にも言わせないように。
この記事にコメントは必要無い。