【垂直型プラントの優れた点と、生産される野菜の安全性について】 |
神戸大学農学部 金地 通生 先生 |
○垂直栽培システムは今までになかった初めての実用化の試みであり,栽培土地 面積に関しては著しく高度に集約的である.一般的な路地および施設栽培に比 べて,少なく見積もっても約20倍以上の集約性が期待できる.なおかつ,上部に伸ばすことによっては更なる土地集約性が向上する.
○人工光源による24時間照射下での栽培や,炭酸ガス施肥,さらに昼夜気温の調 節が可能なことより,植物の生長を著しく促進でき,また,夜間電力の利用や太陽光発電パネルとの併用によっても生産電力コストをかなり引き下げることが出来る.
○垂直栽培パネルに定植した根部側通しを向かい合わせ,そこに自走式の養液ミ スト噴霧装置で定期的に養液をかけて栽培するシステムは,根部の成長を促進 する酸素を十分に供給でき,かつ養液の回収・濾過・循環による節約型水耕シ ステムとして,廃液量も少なく,コスト面および環境安全面に優れている.
○露地栽培につきものの天候不順による生産の不安定さや価格変動がなく,いつでも一定品質で一定価格の生産物を定数量出荷でき,長期にわたる生産・販売 契約,安定出荷が可能である.
○完全閉鎖系内での栽培は,病害虫から隔離された完全無農薬清浄野菜の栽培を 可能とし,食の安全かつ安心を求めるニーズに答える食品を生産できる.
○葉菜類では,養液の濃度や組成,人工光源の光強度や光質を調整することで, 栄養成分(ビタミンCや葉緑素およびアントシアニンなどの栄養価の高い植物色素)を増加させたり,不用成分(硝酸イオン含量など)の少ない苦みの少ないおいしい野菜を生産できる.
以上のようなメリットが考えられます
【従来型との比較図】 ■従来型
■垂直栽培システム