オトコには、“紳士欲”という欲望があるんです。―倉田真由美 漫画家
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MAYUMI KURATA |
「“紳士”というのは自分の美学のためにやるカッコつけだと思う。他人にどう見られるかではなく審判は自分。銀座のクラブでスマートに飲むとかね、そういうのは相手の女性に紳士だと思われたくてやるカッコつけに過ぎません」 こう語るのは“くらたま”の通称で知られるマンガ家の倉田真由美さん。ダメ男を好きになる女を描いた『だめんず・うぉ〜か〜』のほか辛口コラムやトークでもお馴染みだ。そんな彼女に紳士と思う有名人を尋ねてみた。
まず、名前が挙がるのは政治学者の姜尚中さん(1)。「紳士の雰囲気を感じますね」。俳優では山崎努や緒方拳あたりも。渋味どころにつづき若手では市原隼人さん(2)に期待大とする。「アイドルのカッコよさはファンのためですけど、彼は『オレは役者だから』というタイプ。24時間役者であろうとするのは紳士魂に通じる気がする」。一方、政治家やスポーツ選手には辛い点が。但書付きで名が出たのは小泉さん(3)だけ。
「紳士魂って映画には多そうですよね」、倉田さんは言う。ハリソン・フォード扮する『インディ・ジョーンズ』(4)しかり。『タイタニック』のディカプリオしかり。命の危険が迫ってもジョークを飛ばす前者に、氷海に浮かんだ一枚の板を恋人に譲り、自らは凍え死ぬことも辞さない後者。「私はオトコのために板は譲れない。でも、男性にはそれをやってほしいと思うのが女性(笑)。本当の紳士って相手が恋人じゃなくても板を譲るものだと思う。生命よりも自分のカッコつけを優先してしまう、それが紳士欲」。つまるところ、子どもや女性にはない欲望だとも。「逆に紳士欲が強いと子孫を残せなさそうじゃないですか。でも、自分にないからこそ、そういう男性に惹かれちゃうんでしょうね」。
実は、と言って倉田さんは苦笑する。かつて付き合っていた人はインディ・ジョーンズのような(!)紳士だったとか。「でもね、付き合うのは大変ですよ。自分の流儀のために突然冒険とか出ちゃいそうだし、本人にしかわからないカッコつけのルールもあるし、氷の海で板をくれたとしてもそれは私だからじゃない(笑)」。
それでも「一生忘れられない人」だという。他のどんな欠点も紳士はそれを凌駕する。紳士欲の強い男は、悔しいけどモテる、というのが、“くらたま的”な結論だ。
[倉田真由美さんが挙げた「紳士」たち]
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声を荒げる時すら紳士的? |
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結婚宣言に男の美学あり!? |
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出ました!究極のカッコつけ。 |
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不届き者でも女にゃモテる。 |
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