貧困や疫病に苦しむ人々を、どうしたら救うことができるのか?
この難問に、慈善家への転身を遂げたビル・ゲイツが挑んでいる。
単純な「慈善活動」だけでは、世界の諸問題を解決できない。
彼が見つけ出した答えは、“創造的資本主義”という概念だった。
人々が経済的不安を抱えている現在、これはともすれば忘れられがちな事実だが、資本主義は、膨大な数の人々の暮らしを改善してきた。だが一方で、資本主義の恩恵から取り残された人々も数十億人に上る。彼らが必要としているものは多いが、その声を市場の耳に届けることはできない。だから彼らは貧困にとらわれたまま、防げたはずの疾病に冒され、充分に力を発揮できずにいる。
各国の政府やNGOは彼らを救う上でかけがえのない役割を担っているが、彼らの力だけでは、あまりにも長い時間がかかってしまう。問題の根絶には、企業の力が必要だ。そして、企業が持つ力を最大限に引き出すには、もっと創造的な資本主義が必要だ。多くの人々を、これまで世界に大きな善をなしてきた資本主義という仕組みに取り込むための、新たな方法が必要とされている。
やるべきことは山積しているが、吉報もある。それは、創造的資本主義は、もう始まっているということだ。企業によっては、すでに貧しい人々の生活を変えるような技術──携帯電話はその一例である──によって、まったく新しい市場を切り開いているところもある。また、活動家にせっつかれてであれ、善意と営利の両立を図ろうとしている企業もある。
特別寄稿したビル・ゲイツの想いとは?
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