あくびに一撃!
の反対意見に一同呆然
どう思うって……やるだけムダに決まっているじゃん……アホくさ。僕はそう思った刹那、声を大にして言った。
「イエース! ブラボーです! みなさんの意見に大賛成です。さっそく具体案を詰めていきましょう。イエー!」
……だって、下手に反対して会議を長引かせるのもイヤだし、どうせ僕の意見なんて無視されるだろうしね。結局、社長案に反対する意見も出なかった代わりに、具体案も出ないまま、会議はお開きの様相を呈してきた。
聖徳先輩が初めて口を開いたのは、そんなときだった。
「みなさんのご意見を伺いましたが、僕はこの社長の案に反対です」
予定調和の退屈な会議にあくびや居眠りをし始めた出席者たちだったが、この一言で場に緊張感が走った。聖徳先輩は周囲を見渡しながら静かに続ける。
「まず第一にコスト面です。そして人員的にも無理があると考えます。データはこちらを見ていただければわかるでしょう。ただ、確かに社長やみなさんがおっしゃるように、教育事業に参入するメリットはあると私も感じました。それでは、たとえば、このような形態だといかがでしょう……」
理路整然と述べられる反対意見と代替案。初めこそみな戸惑っていたが、徐々に聖徳先輩の話に引き込まれていった。結局、会議の結論は「要検討」。諭吉社長に学習塾ではなくて、代替案を提示することでまとまった。
会議が終わると僕は思わずうれしくなって、退席しようとする聖徳先輩に話しかけた。
「実は僕も反対したかったんですよ! さすが先輩、すっきりしたなあ」