桜井淳所長の最近の講演内容-不自然な測定データをどのように取り扱うのが賢明なのか-
テーマ:ブログ【大学工学部での一般講演の講演要旨】桜井淳所長は、1976年7月から1984年6月まで、原研材料試験炉部に勤務していましたが、材料試験炉部には、材料試験炉(JMTR)(講演では約10分説明)の炉心核計算(講演では約10分説明)部門・キャプセル設計部門・運転部門・保守部門、それに、炉心で中性子照射したキャプセルを原子炉から水中移動(カナル移動)させ、隣接のホットラボラトリの各セルで解体・各種試験(引張試験・衝撃試験・シャルピー試験等)を実施する部門があり、桜井所長は、炉心核計算部門で炉物理の計算・実験(講演では約10分説明)に約8年間従事しましたが、その間、直接の業務上のことではなく、部の問題として、見聞して参考になったことがあり、それは、材料試験炉を利用する原研内外の研究者の"たくらみ"であり、その具体的な内容を話せば、材料試験炉を利用する研究者は、中性子照射する原子炉燃料や原子炉材料を材料試験炉部の担当部門に渡し、しかるべき部門で適切なキャプセル設計(構造・熱)・製造後、炉心に装荷され、ある期間、中性子照射(講演では約10分説明)され、さらに、キャプセルからそれら試験片を取り出し、各セル内で各種試験を実施することになりますが、依頼から完了するまでに、早くて1年、普通数年もかかり(講演では約10分説明)、一本のキャプセルを中性子照射するのに、数百万円から数千万円(講演では約10分説明)もかかり、試験片の種類・質・数からして、原子力開発の質、すなわち、信頼性を左右することになるため、材料試験炉部に依頼する研究者は、材料試験炉部の各部門、具体的には、最終的に、試験片の試験を担当する現場の労働者の質を疑っており、試験が正しく実施され、測定結果がそのまま正直に報告されているか否か、常に、チェック・確認していますが、その手口は、数多くの試験片の中に、依頼した特性と異なる試験片をいくつか混ぜておき(講演では約10分説明)、識別記号は研究者側が記録しておき、材料試験炉部に渡す書類には、皆同じ特性の試験片と記しておき、現場での測定結果は、当然、いくつかの物については、予想した測定データから大きく外れますが、それをそのまま正直に報告するか、それとも、現場で、書類の記載内容からして、そのようになることはありえないと判断して、予想される値に修正して報告するか(試験法によっては、発生確率は低いものの、偶発的に、起こりえることもあるため、そのような判断をする場合もおかしなことではないのですが・・・)、それとも、おかしいと感じて、その試験片については、ブランクのまま書類を提出するか、現場での判断は、三つになりますが(講演では約10分説明)、研究者側がチェックしていることは、たとえ、工学的には考えられないくらいおかしい測定データであっても、試験結果をそのまま正直に報告していることであり、それ以外のことは、期待しておらず、そのような手口は、原研内の研究者だけでなく、原研外の研究者、そればかりか、原研内の研究者が分析センターに成分分析依頼する場合とか、原研内の研究者が原研外の機関に業務委託する場合にも、常に、使われており、材料試験炉部内で、そのような場合の対応法を議論・検討したことがあり、桜井所長は、直接関係していませんでしたが、複雑な心境で聞いていました(経験的に、世の中には、いろいろな"たくらみ"がなされており、良い悪いにかかわらず、おかしいと思っても、特に、理工学分野においては、情報を意図的に加工せず、そのまま報告する以外にないでしょう、このことは、当たり前のように思えるかもしれませんが、実際には、さまざまなしがらみの中で、単純な問題ではありません)。