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“ホーム”アキバでも麻生首相離れ

 麻生太郎首相(68)が26日、自身の人気を「ブレークさせてくれた」と自覚する東京・秋葉原で首相就任後、初めての街頭演説を行った。約1万人が集まり、内閣支持率は低くてもアキバでは高い、麻生氏の人気を裏付けた。しかし、一部では「いつまでも秋葉原が味方と思うな」「アキバを利用している」など、批判的な声も。支持率回復、次期総選挙勝利へ向けた“切り札”といえる秋葉原でも、麻生離れは始まっているようだ。

 麻生首相のアキバ凱旋(がいせん)演説。JR秋葉原駅電気街口の広場や歩道橋は、人で埋め尽くされた。06年総裁選の街頭演説で「自称オタクのみなさん、こんにちは」と呼び掛けて以来、オタクの支持を獲得した麻生氏にとっての聖地。車で到着すると、太郎コールと拍手が起きた。

 冒頭「あれ(2年前の演説)でブレークし、多くの方々に支えていただいた。お礼かたがた秋葉原に来よう、首相として初めてやる街頭演説はまず秋葉原で、と思っていた」とあいさつ。「外交とか経済とか、麻生太郎が政治家の中で一番使えると思う」と自画自賛したり「日本をさらにさらに元気にするため、総理大臣として頑張る」と、政権運営への意欲→解散先送りととれる発言も。秋葉原連続殺傷事件が起きたこともあり、「青少年問題に関する演説」の予定だったが、首相・麻生太郎のPRがほとんど。金融不安や景気対策の話とともに、メルマガや動画の宣伝までした。

 ホームグラウンドの気安さからか、日課の朝の散歩を「(警備が多く)暴力団の組長が子分を連れて歩いているよう」と表現したり、週に10冊以上読むコミック誌について「時間が制限され、読みにくくなった。まだ先週のジャンプとモーニングは読めてない」と嘆いたり。「暗い顔をしているともてない。もてたいやつは明るい顔をしろ」とハッパをかけ、最後は「ありがとう」と3度も繰り返し、握手にも応じた。

 ただ本拠地でも、全員が味方とは限らなかった。「とっとと解散しる(しろ)」「アキバはいつまでもてめーの味方ぢ(じ)ゃねーぞ」の紙を掲げた人も。漫画家の男性(42)は「麻生さんはアキバを利用している。支持率が落ちても、ここに来れば盛り上がるから。悪い印象はないが、最近は露骨に思える」。コスプレ姿の男性会社員(31)は「たまたま演説を聞いたが、正直言って期待はずれ。漫画を使った演出が鼻につく。消費税の話もなく、生活に直結した話が聞きたかった」と、苦言を呈した。

 「麻生首相」誕生の原動力となった聖地も、必ずしも一枚岩とはいえない。アキバの人気者から首相の座に上り詰めた麻生氏に注がれる有権者の視線が、厳しさを増していることは確かなようだ。

 [2008年10月27日7時27分 紙面から]


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