仙台弁護士会(荒中会長)は24日、来年5月に始まる裁判員制度の対象となる事件で国選弁護人をサポートする「支援弁護士」制度を導入することを明らかにした。裁判員制度開始前の来年4月から実施する。同会によると、全国でも例がない取り組みという。
仙台地裁では来年、50―60件の裁判員裁判が見込まれている。公判前整理手続きや連日開廷が必須の裁判員裁判は弁護人の負担が大きく、新たな知識や従来と異なる弁護手法も求められる。このため弁護士らの間では、複数の弁護人で担当するのが望ましいとの考えが大勢となっている。
新制度では、地裁でこれまで実施された裁判員模擬裁判や公判前整理手続き、連日開廷した裁判の経験者、刑事弁護に精通した弁護士ら30―40人の名簿を作成。国選弁護人に就いた弁護士から支援要請があり、弁護士会が相当と認めた場合、名簿から支援弁護士を選任する。
裁判所が当初の国選弁護人に加え、支援弁護士を国選弁護人に選任した場合、従来の複数選任と同様に弁護活動する。複数不選任の場合は、弁護士会の刑事弁護等基金から報酬を支出する点で私選と異なる「第三の弁護人」として、国選弁護人をサポートする。
仙台弁護士会には一部事件の国選弁護人に必要経費を貸し付けるなどの支援策はあったが、裁判員裁判では、特に複数選任が認められない場合の人的支援が不可欠と判断した。これまでは複数選任が認められない場合、国選をいったん返上。複数の弁護士が私選として受任し、報酬を度外視して弁護活動する例もあったという。
同弁護士会は「裁判員制度と並行して、捜査段階から弁護人を付ける容疑者国選弁護人制度も全面実施され、弁護人の負担は重くなる。支援制度を有効に活用していきたい」と話している。
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