先日久しぶりに「セカンドオピニオン希望」の患者さんがいらっしゃいました。
「うつ病だけどなかなか治らないから」と…。
今の主治医に本人が「私,うつ病ですよね?」と尋ねたら「そうです」と言われた,とおっしゃるのですが,話を聞けば聞くほど摂食障害の症状があることが浮き彫りになってきました。私の診断は,むちゃ食いと排出行動(下剤乱用)を伴うタイプの神経性無食欲症。
食行動のことを今の主治医には話しているのかと問うと,ちゃんと話してはいるとのこと。でも,主治医から月に何回過食したかを聞かれその回数を報告したら「ほう,そうか」で終わる,と…。
・・・。
正直なところ,もしも患者さんのお話がそのまま真実だとしたら,その主治医の先生の対応はあんまりなんじゃないの? と思ってしまいます。
過食の回数を尋ねたって食行動の問題が解決していくわけがないし,全然治療になってない。
でも,患者さん自身も摂食障害の症状の治療に対して受け身になってしまっているんですよね。
「ほう,そうか」しか言ってくれないから何にも変わらない,って。
摂食障害の患者さんとお会いして私がいつも思うことは,過食でも拒食でも食行動を望ましい方向にコントロールする力を身につけてコントロールできるようになっていくのは患者さん自身にしかできないことだ,ということ。ご家族や主治医だけがいくら一生懸命がんばっても,本人の食行動を変えることはできないのです。
ただ,そんなことは症状に苦しんでいる患者さんや必死で本人に関わっているご家族にはおそらくわかっていないはず。
だからこそ,主治医が「あなたががんばって変えていかないと症状はなくならない,周りのひとにできるのはせいぜい応援とちょっとしたお手伝いくらいのもの」って患者さん本人にきちんと説明してあげないといけない,と私は思います。
でも。
「私があなたの摂食障害を治してあげます」と断言できるような名医なら,患者さんに「あなたががんばらないと」って言う必要ないじゃん,って思われた方ももしかしたらいらっしゃるかもしれません。
私自身,摂食障害の治療がすごく上手な先生方に何これまで人もお会いしてきましたが,どの先生も患者さんが自分で治していく力を引き出すことに長けていらっしゃるのであって,決して先生おひとりの力で摂食障害を治しているわけではないんですよね。
逆に「私があなたの摂食障害を治してあげます」と断言するような医師に出会ってしまったら,ちょっと疑ってかかるくらいのほうがいいのかもしれません。いろんな意味で,ご注意を!
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