混乱の多い、IntelのPentium4系CPUの消費電力とTDPの関係
IntelのPentium4系CPUの消費電力とTDPの関係は、実際には、
TDP << 最大消費電力=最大電圧 x 最大電流
なのですが、Pentium4のデータシートにはこのことが明確には書かれていません。(2004/12/12時点)
Intel Xeonのデータシートには”最大消費電力”の項目が書かれていて、
実際に、この関係が成立していることが示されています。
例えば、XeonのFSB533MHz版のデータシート
http://support.intel.com/design/xeon/datashts/252135.htm
(2004/12/12時点では 25213506.pdf です)
の 5.1 Thermal Specifications の Table 42 (page70) に、3.2GHz品では、
Maximum Power(最大消費電力) 110W
Thermal Design Power (TDP) 92W
であることが書かれています。
この、" 110W " という数値は、page22のTable 6 に記載されている、
最大電圧1.463V
最大電流75.0A
から求まる計算値 109.725W とほぼ一致します。
Intel社のPentium4 ・ XeonのTDPについて。
たとえば、LGA775 Pentium4のデータシート
http://support.intel.com/design/pentium4/datashts/302351.htm
(2004/12/12時点では 30235103.pdf です)
のpage74には以下のように書かれています。
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原文:
The case temperature is defined at the geometric top center of the processor IHS.
Analysis indicates that real applications are unlikely to cause the processor to consume maximum
power dissipation for sustained periods of time.
Intel recommends that complete thermal solution designs target the Thermal Design Power (TDP)
indicated in Table 5-1 instead of the maximum processor power consumption.
The Thermal Monitor feature is intended to help protect the processor in the unlikely event that
an application exceeds the TDP recommendation for a sustained period of time.
For more details on the usage of this feature,refer to Section 5.2.
In all cases, the Thermal Monitor feature must be enabled for the processor to remain within specification.
翻訳:
CPUパッケージ温度はIHSの幾何学的中心部で定義されます。 解析結果からは、
実アプリケーションでは長時間にわたってCPUが最大消費電力を消費し続けることは多分なさそうでした。
Intelは、熱対策設計の目標に、最大消費電力の代わりに、熱設計電力(TDP)の使用を推奨します。
熱監視機能は、たまたま長時間にわたってTDP推奨値を超える用途が発生したときの、
CPU保護の手助けを意図したものです。 この機能の利用法の詳細は、第5.2章を参照してください。
全ての場合で、熱監視機能はCPUの仕様の範囲内に収まるように有効にすべきです。
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翻訳では分かりにくいかもしれませんので念のためIntel社が言いたかったことを要約しますと、
「 最大消費電力が長時間継続することを前提に冷却系を設計するのは大変だから、
最大消費電力よりも低い、TDPの基準で冷却系を設計してもいいよ。
Intelの調査では一般PCの用途で最大消費電力が長時間継続する頻度は少ないので
TDP基準の冷却でもCPUの定格最大温度を超えることは少ないと思います。
ただし、たまにTDPを超える最大消費電力が長時間継続することもあるかもしれないから、
そのときに温度が上がりすぎてCPUが壊れないように、オーバーヒート防止機能有効化
(要するに自動的にクロックを落とすなどしてCPUの定格温度を超えないようにすること)
は必須だよ。」
ということです。
なお、オーバーヒート防止機能(自動的にクロックを落とす)については、
データシートの5.2章に詳細が書かれています。
Intel社 CPUサポートページ
http://support.intel.com/support/processors/index.htm
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2004/12/12新規作成
某掲示板に上記内容を書き込んだら、ばっさりと削除された(泣)