飯塚オートの場外車券場を吉富町に開設する問題で、今冨寿一郎町長は24日、計画には同意しないことを決めた。23日にあった住民アンケートの結果報告に役場を訪れた地元4自治会長との面談の席で明らかにした。オート運営者の飯塚市や委託業者、藤家清見議長にも24日、不同意を伝えた。7月に計画が表面化して以降、町を混乱させてきた問題は、町長の判断によってようやく決着した。【出来祥寿】
オートの監督官庁の経済産業省は、開設の許可に地元自治会の同意か首長の判断が必要との見解を示し、4自治会長は判断を町長に一任。一方、4自治会のうち直江、和井田両自治会は計画の賛否を問う住民アンケートを実施し、23日の集計で賛成96に対し反対275と3倍近い差で反対が多数を占めた。
4自治会長と面談した今冨町長は「地元の意見は尊重しなければならず、私も同意できないということで了承してもらいたい」と述べた。また、車券場開設予定地の旧パチンコ店が老朽化し、不審者も出没するなど近隣住民が不安視していることについては「所有者の住民に協力をお願いしたい」と話した。
町長は取材に「一任をされた私としては、地元の民意が反対であれば、反対するのは当然。施設が将来の町にとって、なければならないというものでもない」と話した。
直江自治会の是木(ぜぎ)輝義会長(78)は「旧パチンコ店の管理問題があり、反対といっても喜ぶわけにはいかない。どのように管理していくか町として考えてもらいたい」とくぎを刺した。
一方、町長が同意した場合に住民投票条例案を可決する方針を決めていた町議会の藤家議長は「町長の判断を評価したい」と臨時会の招集請求書を取り下げる考えを示した。
また、この日から保護者を対象に反対の署名集めを予定していた吉冨中保護者会の上田大作代表(49)は「署名集めは中止するが、われわれが反対した時点で、反対を決めてほしかった」と話した。
飯塚市公営競技事業部の城丸秀高部長は取材に「非常に残念だが、計画は断念せざるを得ない。行政や自治会長らに大変迷惑をかけた」と話し、計画を撤回する考えを示した。
〔京築版〕
毎日新聞 2008年10月25日 地方版