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子どもの事故どうする?:/上 誤飲…「何を?」まず確認

 ◇対処法、予習して 迷ったらすぐ病院へ

 こんにゃくゼリーを食べた兵庫県の1歳男児に続き、今月は千葉県で小6男児がパンをのどに詰まらせ死亡した。どちらも日常生活で身近なものが原因だ。とっさの場合、保護者は適切な行動がとれるだろうか。

 子どもの安全に関する著書で知られる長野県立こども病院の田中哲郎副院長は「飲み込んだ物の種類や異物が体のどこにあるかによっても対処法が異なる。飲み込んだものを確認し、迷ったときは無理せず、すぐにかかりつけ医か119番に連絡を」と勧める。

 東京消防庁救急指導課の川添晴啓さんは「高齢者や乳幼児は刺し身やごはんでも、のどに詰まらせ救急車を呼ぶ例が少なくない。救命講習を一度は受けて」と呼びかける。

 のどにものを詰まらせたら、まずせきをさせることが大事だ。吐き出せないときの対処法は2通りある。

 1歳未満は背中をたたいて吐き出させる背部叩打(こうだ)法。片ひざの上に子どもをうつぶせに乗せ、左右の肩甲骨の間を手のひらの付け根あたりで何度も強くたたく。反対の手で子どものあごを少し上げて気道を確保すると良い。

 1歳以上の場合はハイムリック(腹部突き上げ)法。子どもの背部から両腕を回し、みぞおちとへその中間に左の拳を当て、その上から右手のひらで押さえ、両腕を自分に引きつけるように、拳を斜め上に一気に突き上げる。

 吐き出せず意識が遠のいてきたら胸部圧迫と人工呼吸に切り替える必要がある。救急要請は早めに済ませよう。

 では、おなかに入ったらどうするか。洗剤などは、水や牛乳を飲ませて吐かせるよう表示してあることが多いが、吐かせない方が良い場合もある=表参照。田中副院長は「コインなど体に吸収されないものは便と一緒に体外に出される。薬や液体など吸収されるもののうち、毒性の強いものは吐かせる、という原則を理解しておくと落ち着いて行動できます」と話す。病院などに連絡するときは、飲み込んだ量▽顔色などいつもと違う子どもの様子▽けいれんや意識の有無--なども伝えれば的確で素早い対応につながる。

 もとより、事故を未然に防ぐことが一番大事だ。飲み下す力の弱い乳幼児には、日ごろから、食べ物を小さめに切っておくことが肝要だという。【大和田香織】=「子どもの事故どうする?」/下 は11月2日掲載

 ◇誤飲事故、トップはたばこ

 厚生労働省が家庭用品の健康被害報告を分析した調査(06年度)によると、小児科の誤飲事故646件で、最も多いのはたばこ(35・8%)だった。2位は医薬品・医薬部外品(16・4%)で、以下は玩具(8・5%)▽金属製品(7・9%)▽プラスチック製品(4・5%)。年齢は、6~11カ月が最多で全体の33・1%を占め、12~17カ月が23・8%で次ぐ。

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 ■誤飲したときの対応(国立保健医療科学院の「子どもの事故防止支援サイト」から)

誤飲したもの                飲ませてよいもの     吐かせてよいかどうか

たばこ                   原則として何も飲ませない 吐かせる

大部分の医薬品               水や牛乳を飲ませる    のどの奥の舌の部分を押して刺激しすぐに吐かせる

パラジクロルベンゼン、ナフタリン、防虫剤  牛乳は飲ませない     吐かせる

                      (毒物の吸収が早まる)

除光液、灯油、ガソリンなどの揮発性物質   何も飲ませない      吐かせず救急病院へ(吐いたものが気管に入り肺炎になる)

トイレ用洗剤、漂白剤など強い酸、強アルカリ 牛乳か卵白を飲ませる   吐かせず救急病院へ(吐くと食道の粘膜を再び痛める)

毎日新聞 2008年10月26日 東京朝刊

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