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グルジア:アブハジア境界で銃撃・爆破事件、高まる緊張

 【モスクワ大前仁】グルジアと同国から独立宣言したアブハジアの境界地域で銃撃や爆破事件が相次ぎ、双方に死傷者が出るなど緊張が高まっている。アブハジア周辺では停戦監視と治安維持のため欧州連合(EU)の監視団が展開しているが、うまく機能していないとの声も出ており、グルジア紛争後の和平体制の不安定さが浮き彫りになっている。

 アブハジアからの報道によると、東部ガリで23日、独立派政府国防省の高官が頭部に銃撃を受けて死んでいるのが発見された。高官が住んでいた家屋の主人も遺体で見つかり、アブハジア当局は「グルジアの特殊部隊による犯行だ」と非難した。25日にもガリで境界地域の警備隊監視所が攻撃を受け、隊員が負傷した。

 一方、グルジア内務省によると、グルジア領側のムジャワ村で25日、アブハジア側から爆発物が撃ち込まれ、地区の行政責任者ら2人が死亡、1人が負傷した。24日にはガリとズグジジを結ぶ橋が爆破された。グルジア当局はいずれもアブハジアと、その独立を承認したロシアによる犯行と断定した。

 一連の事件を受け、グルジアのサーカシビリ大統領は「グルジアは絶えず危険にさらされている」とロシアの脅威を強調したうえで、「同様の挑発を許さないため、EU監視団との最大限の協力が必要だ」と述べた。一方、アブハジアのバガプシ大統領は「欧州の監視員らがグルジアのテロ・破壊活動を阻止できないか、阻止する気がないことを示している」と述べ、EU監視団の活動に不満を表明した。

 EUの活動を巡っては、ロシアの要求を反映し、監視要員は銃器を携帯せず、またアブハジア内に立ち入れないなど制約を受けている。境界地帯でのテロとみられる事件の続発は、当初から不安視されていた治安維持能力の弱さを露呈した格好だ。

 アブハジアと同様に独立宣言をした南オセチアでも、不安定な状況が続いている。今月3日に中心都市ツヒンバリのロシア軍駐留地近くで自動車が爆発し、ロシア兵ら11人が死亡。また南オセチア当局によると、18日にはグルジアとの境界地域に設置された警察監視所がグルジアの村落の方角から発砲された。

毎日新聞 2008年10月26日 20時53分(最終更新 10月26日 20時57分)

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