LDRは「基本」ではない
RSSが米国大人ユーザーの11%にしか利用されていない件なんだけど
……この件に関しては、上記記事のはてブでotsuneの人が書いている論点
フィードの使い道が「RSSリーダー」しか思い浮かばない人は想像力不足。機械にとってHTMLとフィードでは、どっちが扱いやすいか自明すぎる
というのが、僕の書きたいことと複雑に絡まる、と思われるものなので、とりあえず上記otsuneの人の論点は「無視」して話を進める(多分関係がある気がする話を書くんだが、その絡み方が複雑なので、という)。もしくは、「データの流れ」という構造において「セマンティック・ウェブ」とかよりも「下」の話をする、という言い方でも良いけど。
RSSは、その仕様上
- 貴方が登録したあるサイトの
- 記事一覧はこんな感じで
- 各記事の概要はこんな感じ
というインターフェイスを、自然な形としてRSSリーダーに提示する。
いわゆるメーラー型3ペインのローカルアプリケーションや、livedoor Readerなどのウェブアプリケーションは全て上記の「提示」に素直に従っている訳だけど、実のところ、このインターフェイス自体が、極めて狭い需要に対応するものであり、それ以外ではない。僕や君は、数百のサイトの記事をj/kで流し読みし、自分が読みたい記事だけを全文読むことを求めているけれど、そもそも、それ自体が「狭い」需要であり、そして、それでしかない、と。
……一応書いておくと、もちろんそれは「LDRは(例えば)11%の人間にとって素晴らしいサービスです」という意味であり、この記事にLDRを叩く意図は全くない。「それが11%である」という類の話であり、それ以外の何でもない、という、この点は予め。
「RSSの便利さ」というものは、少なくとも今後、
- 重要ニュースのみをスマートにチェック
- 半既知サイト内記事のチェック(この言葉は割と説明が難しい、最後まで読んでくれれば分かると思うが「LDRに登録するサイト」の意味ではない)
- 未知サイト内記事との出会い
といった方向性に行かざるを得ないと思っている。
ちょっと順序立てる。
- 仮にRSSリーダー使うにしても数百サイトを登録することはしない
- 毎日見たいサイトとは、例えばasahi.comや中川翔子ブログ
と、いう場合。
まずasahi.com(である必要は別にないけど)は
- asahi.comは自然と毎日大量の記事を更新し、HTMLでは、それを独自のカテゴライズやインターフェイスで見せている
- 「asahi.com」という一サイトの閲覧だけを考えれば、「汎用性の高い」RSSリーダーのインターフェイスより、「asahi.comに特化された」asahi.comのインターフェイスの方が読みやすい
- というか、そうでなければasahi.comのデザイナーが問い詰められるべき
そして中川翔子ブログ(である必要略)は
- そうであるが故に、中川翔子は毎日記事を更新しなければならない(結局ムーノー時代から「サイト管理人は毎日記事を更新すべき」である点は変わっていない)
- そしてそうであるが故に、中川翔子ブログをブラウザで開こうとRSSリーダーに登録しようと、記事の確認性は変わらない
- というか、HTMLで見た方がヘッダーの本人写真とかあるんだし、その方が良いのやもしれない
と、なる。
……中川翔子は別に「読者を逃がさないため」とかと無関係に記事を書く気はしなくもないが、例えば
タブブラウザに「毎日チェックするサイト」フォルダを作っておけば「このフォルダを全て開く」で全サイトを一気にチェックできるよ
上記の台詞は、ある「バランス」が解決される条件下では成立する、と思う。具体的には
- モニター解像度
- タブブラウザ導入の手間
- IE操作との差異による通常のブラウジングへの弊害
- PC負荷
あたり、との。しかし、そもそも
チェックしているブログをRSSリーダーに登録すれば便利
という台詞は、実のところ、「バランス」以前の問題として成立していない。
そしてだからこそ、「スマートサーチ」という方向性を模索すべきだし、そこにはまだ可能性が眠っているはずだ、と、ここ数年ほど思っている。
RSSは、そもそもURLリストなので、早い話、例えば
- ありそうなブラウジングの想定需要
- それを満たすためのURLリストを如何に生成するか
- RSSを配信
- ついでにHTMLでも「マッシュアップサイト」として公開し、ブログパーツとVistaガジェットとAIRアプリを配布
といった「提供」の中に組み込まれるものだ。
従って、RSSリーダーの「ライバル」はマッシュアップサイトだ。上記のような「ブラウジングの想定需要に応じるリスト」をユーザーに提供するのが誰なのか、という。
この線引き自体が一つの「テーマ」なんだけど、以下ではあるポイントに「線」を引く。このポイントには(少なくともこの記事的に)必然性はないので、以下、適宜「線」の位置を脳内で補正しながら読んで頂ければ。
と、いうことで。
一つ例を挙げるなら、「いわゆるニュース番組や新聞で大きく扱われるはずのニュース一覧を確認する手段」という、これすら現在は存在していないような気が、する。
- 国内主要ニュース(朝日でもNHKでもCNNでも)のRSSをクロール
- パストラックから視聴率を集計(「最大瞬間風速s以上」かなぁ)
- はてブでノイズタグ(「これはひどい」とか)が多い記事を除去(たぶんこれやらないと「女子高生を泣かせた」とかそんなんばっかになる予感が)
- RSS生成
だけでも良いんじゃないかなぁ。
そして例えば
- 上記の主要ニュース
- コメントが盛り上がっているタレントブログ記事集(炎上しているだけの記事を上記のような方法論で除外する必要があるはず)
- 2ちゃんねるコピペブログ記事集(政治/思想系を上記のような方法論で分離する必要があるはず)
- 盛り上がっている個人ブログ記事集(炎上しているだけの記事を上記のような方法論で除外する必要があるはず)
- 面白いニコニコ動画リスト(アイマスとか、特定の集合にとってのみ面白いと思われる動画を方法論で除外する必要性があるはず)
- 今見るべき画像ギャラリー/画像スレまとめブログ記事集
- 何か特定サイトの記事一覧
などを読みたいと思う人は、それだけのページを「すべて開く」したら邪魔だし、各リストへのアクセス性が低いし、また、それだけのガジェットをデスクトップに貼ったら邪魔すぎるのだから、ここでデスクトップ型RSSリーダー(一応言っておくけど、まだ3ペインやLDR系は不要だ)の必然性を感じる、はずで。
ちなみに、この次の段階で必要なRSSリーダーとは、例えば、
- 全登録RSSの記事を時系列に並べる
- かつ「はてブ」か「パストラック」あたりと連携し、ブックマーク数/視聴率あたりを自動取得する
- スライダーで「閾値(ブックマーク数/視聴率ベースで、しかし単純にやるとサイト間のアクセス数差が影響大きくなりすぎると思うので適当に)」を動かすことによって記事を絞り込める
- 2ペインで、左ペインで「記事の投稿日時」を選択する(「毎日チェックされる」は前提ではない。3日以上前の記事を「未読」として10分前の記事と並列に並べるべきか?)
といったリーダーだ。
「3ペイン」「LDR系」という、「RSSリーダー」にとって「基本」のインターフェイスは、「数段階目」のインターフェイスで、それが「LDR」の良い点であり、「ただ数段階目である」という、話だ(別の機会で書くかもしれないが、「その先の段階もある」という意味でもあるけれど)。
最初に戻ると
フィードの使い道が「RSSリーダー」しか思い浮かばない人は想像力不足。機械にとってHTMLとフィードでは、どっちが扱いやすいか自明すぎる
というのが、僕の書きたいことと複雑に絡まる、と思われるものなので、とりあえず上記otsuneの人の論点は「無視」して話を進める
RSSは、おそらく既に扉を開いている。が、その扉の向こうで作られているRSSリーダー/マッシュアップサイトは数少ない。「RSSが十分に活用される世界」とは「皆がLDR的な何かに数個〜数百サイトを登録している世界」ではない。
「マッシュアップサイトとRSSリーダーの線を何処に引くか(べきか)」というテーマが「この次」に来るが、「活用」の主流、別の言い方をすれば「RSS利用の基本形」は、上記のような「スマートサーチ」になる、はずだ。
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