コラム「格闘技インサイド」=文・安田拡了
「ボードックファイト」上陸 パンクラスとの提携
ことしは日本の総合格闘技の勢力図が変わる。
パンクラスが米国の「ボードックファイト」と提携すると発表した。選手交流とパンクラスは日本での「ボードックファイト」興行に協力をしていくというものだ。
皆が口をそろえて「パンクラスはいいスポンサーを持った」。なぜなら「ボードックファイト」を行っているボードック社は、オンラインのカジノゲーム会社で膨大な資金力を持っているからだ。
最初は「UFC」と対抗する総合格闘技「MFC」大会のメーンスポンサーだったが、金を投入して「MFC」を買収し「ボードックファイト」を立ち上げた。
つまり巨大な資金力を背景に、世界最大規模の総合大会をつくることをもくろむ会社なのだ。会見で語られてはいないが重大な事実が隠されている。
興行に協力をするパンクラスは「ボードックファイト」の日本での運営管理を行う。つまり極端なことをいえば、今後の状況次第でボードック社がパンクラスに資本投下して、いわゆるM&A(企業の合併・買収)という形になる可能性もある。
このあたりに脅威を感じているのはPRIDE、HERO’Sなどの日本総合格闘技界だろう。
ことにPRIDEは映像面でフジテレビが撤退して以来、苦しい興行を強いられており、これまではパンクラスの選手を参戦させてきたが、今後は見合わせることになりそうだ。
ちなみに米国の総合格闘技の大手「UFC」は小さい興行会社を吸収しながら大きくなった。そんな「UFC」だけに「ボードックファイト」の拡大と日本進出に敏感に反応しているに間違いない。PRIDE選手の一本釣り(すでにミルコを獲得)に強敵が現れたからだ。
「ボードックファイト」はPRIDEで活躍しているヒョードルの米国、日本以外の国での権利獲得の合意を得た。今後はさらにPRIDEで活躍している有名選手たちの一本釣りに精力を使うことが予想される。
もちろん、そのときはパンクラスが積極的に窓口になるはずだ。近々行われるパンクラスとボードック社の契約書の内容が気になる。(スポーツライター)
(2007年2月1日更新)
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