今年は台風の本土上陸が一度もなく、例年以上に鮮やかと予測される近畿地方の紅葉。名所が多い京都への11月のツアーのなかには、すでに予約が前年より1割増になっているものも。猛暑が続いた昨年は、紅葉の時期が12月にずれ込み、商機を逸した旅行代理店も少なくなかっただけに、売り込みに力が入っている。
大阪管区気象台によると、今年は日本の南方の海上に広がる太平洋高気圧の勢力が強く、8〜10月に発生した台風の大半が西進して中国大陸に上陸。東進して日本列島に近づいた3つの台風も、大陸性高気圧に阻まれて上陸しなかった。このまま台風が上陸しなければ、平成12年以来で、観測史上4度目になる。
一方、気象情報会社「ウェザーニューズ」(東京)では、台風の雨が含む海水の塩分による塩害や、強い風による枝や葉の痛みなどがないことが、紅葉には好材料と分析。四国などでは降雨量不足から、紅葉前に落葉する恐れも出ているが、近畿では雨量は十分で「例年よりも鮮やかな紅葉が期待できる」(同社担当者)という。
昨年は、9月下旬まで最高気温が30度近い日が続き、紅葉のピークは12月にずれ込んだ。「遅い時期の紅葉狩りツアーを予定しておらず、商機を逸した」(日本旅行関西広報室の上田憲二室長)。
今年は9月下旬から一気に冷え込んだことで、紅葉のピークは、昨年より1週間程度早まり、平年並みの11月中旬から下旬になりそう。
近畿日本ツーリストによると、東京方面から京都への11月下旬のツアーは前年比1割増の好調な売れ行き。紅葉の名所、京都・嵐山を走る嵯峨野トロッコ列車は、11月22〜24日の3連休の一般向け予約が、売り出しから5分足らずで完売したという。
11月14〜16日に、重要文化財などを特別公開する「書写山もみじまつり」を予定している兵庫県姫路市の圓教寺(えんぎょうじ)の中安剛円総務部部長は「今年はちょうど見ごろにまつりを開催できるのではないか。文化財と紅葉の両方で行楽の秋を満喫していただきたい」と話している。
【関連記事】
・
「タイの風俗情報教えて」勤務中にメール 山梨県が職員2人処分
・
訪日外国人の拡大担う観光庁 成果いかに
・
燃油サーチャージ含め総額表示に
・
ミシュラン、日本ガイド中国語版を出版
・
JTBなどバリアフリーツアー増加 “行きたい”かなう企画提供