佐賀大医学部付属病院が今年1月、がんではなかった60代男性の前立腺の全摘出をした問題で、佐賀大は24日、手術の根拠となった病理診断報告書の記入ミスが原因だったと発表した。病理診断は東京の検査会社「エスアールエル」が受託しており、他の患者の診断結果が誤記入されていた。
佐賀大や同社によると、男性の前立腺の病理診断は、付属病院に男性を紹介した病院が同社に依頼。同社が委託した病理医が報告書を記入した際、前立腺がんと診断された別の患者の結果と取り違えた。この問題は5月に発覚し、男性と同社、病理医との間で示談が成立したという。
付属病院の宮崎耕治院長は「病院側に瑕疵(かし)はないが、男性に無用の手術をしてしまったのは事実。今後の男性の症状について、責任を持って診させてもらう」と語った。
一方、エスアールエル社は「今後は再発防止策を徹底し、同じ過誤を繰り返すことのないよう全力を挙げて取り組む」とのコメントを出した。【姜弘修】
毎日新聞 2008年10月25日 地方版