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秋葉事件は日本人殺りくの予告(中)

【PJ 2008年07月17日】− 事件が後押しした治安強化の法整備
(上)からのつづき。今回の「アキバ事件」は、懸案の政策を促進させる契機として絶妙の時期をとらえている。すでに実施されている盗聴法に続き、治安を強化するための幾つもの法整備を後押しした。

 まず、インターネットへの規制が挙げられる。「有害サイト規制法」が参議院本会議で可決、成立したのは先に述べた。同法は携帯電話事業者やパソコンメーカーに対し、有害情報へのアクセスを遮断するフィルタリングサービスの提供を義務付けたもの。

 日本新聞協会やマイクロソフトなどネット事業者5者が「表現の自由を侵す可能性がある」と反対声明を発していたため、業界でつくる第三者機関「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)」が基準を示し、有害かどうかを判断することになった。

 加藤容疑者が携帯サイトに犯行予告をしたことから、今後は運営会社が常時監視し、土日祝日も通報や問い合わせに応じることになった。犯罪を示唆するネット上の書き込み情報を受けた警察が即座に捜査を行えるよう、秋には官民共同の実務者による連絡網を創設する方針も示された。

 秋葉原の事件後、インターネット上で相次いだ犯行予告の書き込みも規制の後押しになったと思われる。中学生から40歳代の会社員など33人が逮捕や補導、書類送検された。新聞は「模倣犯」と片付けているが、本当にそうだろうか。年代や地域の広がりから、組織的に行われた可能性を一層感じる。このデリケートな時期に、普通の人が「池袋行って100人ぶっ殺す」「アメリカ村で無差別殺人を起こします」などと書くだろうか。後者は続けて「秋葉の件でこんな僕も勇気がわきました」と模倣であることをわざわざ強調している。 

 凶器所持への規制も進んだ。新聞によれば、今回の事件で使われた両刃のダガーナイフ(短剣)は7月8日までに群馬、愛知、京都など12府県が事件後18歳未満の青少年への販売を条例で禁止した。宮城、三重など5件が近く販売禁止を予定し、北海道、東京など18都道府県が「検討中」という。

 刃物を振り回しての無差別殺傷事件は、1月に東京・品川、3月に茨城・土浦でも起きている。昨年、東京・町田での暴力団組員発砲や長崎市長射殺、佐世保の乱射事件などが立て続けに起きて突然銃規制が強化されたのと考え合わせると興味深い。これは偶然だろうか。

“ホコ天”廃止工作もついに実る
 事件を受け、歩行者天国も当面中止になった。約35年間続いた休日の秋葉原電気街ののどかな光景が消えた。廃止を画策する勢力がいたことは、それまでの経緯からも明らかだ。4月25日には、自称グラビアアイドルの女性が公共の場所でみだらな行為をした疑いで万世橋署に逮捕されている。このささいな事件はマスコミが報じており、『内外タイムス』は「秋葉原ホコ天廃止説急浮上」と題し、警視庁ホームページの「歩行者天国」の趣旨を引用。「〈歩行者用道路として人と車を分離し、安心して楽しい散策やショッピングができるように設けられたものです〉とあるが、今のアキバのホコ天がそのような様子でないことは確か」とし、「アキバのホコ天廃止があってもおかしくはない」と結んでいた。

 『J−CASTニュース』というネットニュースは、殺傷事件の2日後、千代田区がホコ天中止の検討に入ったことをいち早く報じている。加藤容疑者と秋葉原の強い結び付きや過激な路上パフォーマンスの横行を指摘し、地元町会から廃止を求める要望があったことを繰り返す。題は「『これ以上イメージ悪化避けたい』 秋葉原『ホコテン』廃止検討」の題で、ホコ天に対する批判的な声だけを載せている。マスコミは外部権力の手先として国民世論を誘導する役割を担うが、『J−CASTニュース』は特にその度が越している。植草一秀元教授がえん罪を主張する事件でもいち早く「クロ」と決めつけ「ミラーマン」「サワリーマン」などの形容でやゆ、支援者のブログまで攻撃してきた。

 4月に捕まった自称グラビアアイドルは、2004年ごろからイメージDVDを出していて、歩行者天国で歌いながら下着を撮影させたり、過激なパフォーマンスで警察から厳重注意を受けていたとのこと。恐らくスポンサーがいるのだろう。でなければ、リスクしかなく収入にもならない恥ずかしい行為をするわけがない。そして、殺傷事件が廃止論にとどめを刺した。敏感な読者なら、最初の騒動が報じられた時点で権力が閉めたがっていることを察知したはずである。

精神障害者の予防拘禁も意図か
 もう一つの懸念は、精神障害を理由にした予防拘禁政策への布石が打たれた可能性である。東京地検が7月7日、加藤容疑者について起訴前の鑑定留置を東京地裁に請求し、認められた。報道は「犯行の計画性を強調する一方で、責任能力の有無が焦点になる可能性が高いことから起訴前の鑑定が必要と判断したもの」などと地検決定を無理に弁護している。権力者が今犯罪に精神障害の要素を組み込みたい強い意図が見てとれる。

 刑法は、被告が犯行当時精神障害によって刑事責任能力がない状態(心神喪失)なら無罪、責任能力が著しく低下した状態(心神耗弱)なら刑を軽くすると定めている。「精神患者に甘すぎる」との向きもあるが、逆に予防しようとすれば、大変なことになる。

 昭和49年に公表された改正刑法草案に盛り込まれた保安処分(97〜111条)には「禁絶処分」と「治療処分」とがある。前者はアルコールおよび薬物使用者対象、後者は同98条で次のように規定している。「精神の障害により、16条2項(責任能力)に規定する能力のない者(現刑法でいう心神喪失者)又はその能力の著しく低い者(現刑法の心神耗弱者)が、禁固刑以上の刑にあたる行為をした場合において、治療及び看護を加えなければ将来再び禁固以上の刑にあたる行為をするおそれがあり、保安上必要があると認められるときは、治療処分に付する」としている。この強権的な予防拘禁政策は、今のところ実現していない(予防拘禁へ向けた策動については、このサイトが鋭い分析をされている)。

 しかし、油断はできない。児童虐待防止法改正で子供の国家管理が進む一方、大人は児童ポルノ禁止法改正や人権擁護法案、共謀罪を盛り込んだ「条約刑法」の提出などで、監視・拘禁が強化されている。3月に茨城県土浦市で捕まった金川真大容疑者も鑑定留置中だし、06年12月の東京・渋谷の妹殺しの予備校生も「切断時は心神喪失」との鑑定結果が出されている。夫殺しの三橋歌織被告は1審で責任能力が認められたが、「心神喪失状態」との鑑定意見が付けられている。特に金川容疑者の場合、72歳の男性を殺害した4日後に8人の無差別殺傷に及んでいる点が絶妙である。【つづく】

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パブリック・ジャーナリスト 高橋 清隆【 神奈川県 】
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