日韓暫定水域で韓国漁船が漁場を独占している問題で、山陰沖の漁業者団体と地元選出の国会議員による懇談会が二十三日、東京都内で開かれ、漁業者側が二〇〇九年度に底をつく支援基金の継続を要請。韓国漁船の違法設置漁具の回収に基金が投入されている「理不尽」な実態を踏まえ、実効性のある日韓漁業交渉を求めた。石破茂農相(鳥取1区)は交渉の手法を見直す考えを示した。
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日韓漁業問題をめぐって陳情に訪れた山陰の漁業者団体=23日、東京・永田町の自民党本部
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支援基金は一九九九年一月の新日韓漁業協定発効に伴って影響を受ける漁業者の経営安定を目的にした激変緩和措置で、国が二百五十億円を助成。漁業共済掛け金や減船休漁への補助のほか、日本の排他的経済水域(EEZ)で押収した韓国漁船の違法漁具の回収にも充てられ、二〇〇七年度末の残高は約五十億円。
懇談会に出席した鳥取、島根、兵庫各県の漁業者団体代表や知事は協定発効で設置された暫定水域の漁場を韓国漁船が独占し、さらに日本EEZで違法操業を繰り返す実態を説明。鳥取県漁協の伊藤美都夫組合長は「違法漁具の保管、運搬には費用が伴う。なぜ日本でやらなければいけないのか」と支援基金を使った理不尽な現状への思いを吐露した。
これに対して青木幹雄参院議員(島根県選挙区)は「相手(韓国)が投げ捨てた網を日本の基金でまかなうのはおかしな話だ」、谷公一衆院議員(兵庫5区)は「政府の取り組みに成果が上がらなければ、新しい手法を考えなければいけない」と答え、進展が見えない日韓漁業交渉に実効性を求める意見が噴出。
支援基金で違法漁具を処理している実態について、石破農相は「向こう(韓国)に送り返すなりの話を詰める」と語り、外務省と連携した新たな日韓交渉の枠組みを検討する意向を示した。
三県が提出した要望書によると、〇八年度上半期に回収した韓国漁船の違法漁具はバイかご、底刺し網など五百十八トン。解決をめぐって「竹島の領土権確立を目指すしかない」と根因を指摘する声も上がった。