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中国、「都市戸籍」改革の方針 農民工の定住条件緩和へ(1/2ページ)

2008年10月25日2時23分

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写真北京市内の建設現場近くの歩道で休む農民工たち。北京五輪で中断していた建設工事が再開し、多くの農民工が首都に戻ってきた=ロイター

 【北京=坂尻顕吾、琴寄辰男】中国の胡錦濤(フー・チンタオ)指導部が、都市住民と農村住民を区別してきた戸籍制度の改革に乗り出している。12日に終わった共産党第17期中央委員会第3回全体会議(3中全会)は、中小都市で働く一部農民に都市戸籍を認める方針を打ち出した。一部の都市で先行する事例を追認した形だ。

 「戸籍制度を改革し、中小都市への定住条件を緩和する」「出稼ぎ農民の報酬、子女の就学、公共衛生や居住面で都市住民と同等のサービスを実現する」――。3中全会で採択された決定には、戸籍制度改革に取り組む指導部の強い意向が示された。

 中国は建国直後の1950年代、労働力を農村にとどめ、生活物資の乏しかった都市部への人口流入を避ける目的で、「農村戸籍」と「都市戸籍」を区別する独特の戸籍制度を整えた。今も原則として自由な移動は認めていないが、78年からの改革・開放政策で都市部の雇用機会が増大すると、多くの農民が地元を離れて出稼ぎに出るようになった。「農民工」と呼ばれる出稼ぎ農民は、全国で2億人余(07年)に及ぶ。

 ただ、戸籍の違いから農民は都市部で教育や社会保障などの行政サービスを受けられないため、社会問題になり、新たな「戸籍法」を定めて都市と農村の垣根を取り払うべきだとの声が絶えなかった。

 こうした声を受け、一部の都市では独自の制度改革で、都市に住む出稼ぎ農民にも教育や社会保障を提供するケースが増えてきた。

 広東省深セン(センは土へんに川)市は8月、市内に住居を持ち一定収入のある住民には、戸籍にかかわらず「居住証」を発行し始めた。居住証があれば「市民」と認められ、今月中旬、記者会見した許宗衡市長は「居住証を持つ人はすべて就職や居住申請、保険申請、福祉関係の申請で便利になる」と述べた。約860万人の定住人口のうち、年末までに約500万人に居住証を出す見通しだ。

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