韓国政府、ＷＦＰ主張の北朝鮮の深刻な食糧危機を否定

ソウル――国連世界食糧計画（ＷＦＰ）が２３日、北朝鮮で食糧危機が深刻化し西部沿岸地帯では２７０万人分の食糧が今年１０月で底を尽く見通しとする報告書を発表した問題で、韓国統一省の報道官は２４日、北朝鮮が重大な食糧難に直面している形跡はないと反論した。

報道官は、最近訪朝した韓国民間人グループの報告を引用し、今年の農作物収穫はそれほど悪くはないとの見方を示した。また、今年は天候にも恵まれ、大規模な洪水被害をもたらした昨年のような豪雨も発生していないことにも言及した。

ＷＦＰの北朝鮮担当の責任者は、西部沿岸の住民は食糧不足から山草などを摘んで食料の代わりにし、食事の回数も減らしていると主張。餓死者が出ているとの証拠は入手していないが、食糧不足が重大な局面にあると結論付けていた。

ＷＦＰは今年８月、韓国に対し北朝鮮への緊急食糧援助を要請したが、実現はしていない。韓国政府は食糧援助を北朝鮮の核廃棄と結び付けるつもりはないが、援助するかどうかは世論を考慮して決めるとの立場を示している。

北朝鮮は１９９０年代半ば、自然災害と農業政策の破たんで食糧難に見舞われ、２００万人が餓死したとも言われる。