光る繭玉(奥)と絹糸(手前)。緑はオワンクラゲ、赤とオレンジはサンゴの色素=つくば市観音台の農林水産技術会議事務局筑波事務所
光る絹糸で作ったランプシェード、敷物、造花。緑はオワンクラゲ、赤はサンゴの色素=つくば市観音台の農林水産技術会議事務局筑波事務所
今年のノーベル化学賞で話題になったオワンクラゲなどの遺伝子を蚕に組み込み、光る絹糸を作らせることに農業生物資源研究所(茨城県つくば市)のグループが成功し、24日発表した。この技術を応用すると様々な色の糸が作れ、染色が不要になるという。実用化に向けた研究が進んでいる。
研究グループはオワンクラゲの緑色とサンゴの赤色、オレンジ色の蛍光たんぱくの遺伝子をそれぞれ組み込んだ3種類の蚕をつくった。蚕が作った繭に青色光をあて、黄色のフィルターを通して見ると、各色に光った。
見るための特殊な条件を必要としない着色も、組み込む遺伝子を変えるだけでできるという。ほかに、遺伝子の一部を改変して細くて強い糸を作ったり、細胞に接着しやすいたんぱくの遺伝子を組み込み、できた絹糸で人工血管を試作したりしている。
遺伝子組み換え体を扱うため、実用化には生産施設の立地などに課題が伴うが、同研究所遺伝子組換えカイコ研究センターの田村俊樹センター長は「5年以内の実用化をめざしたい」と話している。(嘉幡久敬)